シリアで拘束された安田純平氏の体験は“宝の山”。今後、ここからさまざまなものが見えてくる

誤情報や未確認情報だらけの安田氏拘束事件

安田純平氏18年11月19日

筆者のインタビューに答える安田純平氏

 ジャーナリストの安田純平氏は、3年4か月ぶりにシリア武装勢力による監禁を解かれ、10月25日に帰国した。  1週間後の11月2日は記者会見で40か月間の体験を語り、その会見内容を中心にしたブックレット『シリア拘束 安田純平の40か月』(扶桑社)を上梓した。  しかし予想されたとおり、解放されたことが報道されると、自己責任論を主張する誹謗中傷が安田氏に集中した。同時に、安田氏を支持する反論も湧き上がっている。 「自己責任」とは読んで字のごとく、自分自身に課すものだ。他人に求めるものではない。  安田氏にとっての自己責任は、自分自身の実に起きたことや見聞を語り伝えることだろう。まさにそれがジャーナリストの仕事である。  実際、安田氏自身が「説明責任がある」「紛争地に行く以上は自己責任」と語っている。したがって、帰国後の会見やブックレットの発刊も、彼の責任であり仕事と位置づけられるだろう。  一連の拘束事件については、間違った情報や確認できていない情報が流れている。たとえば身代金の支払い問題だ。  NGOの「シリア人権監視団」は安田氏解放のためにカタール政府が300万ドルの身代金を払ったとしているが、当のカタールは明確に否定している。  この情報を発表したときの同団体の発表には「実は4日前に解放されていたが政治的な理由で発表が遅れた、という『明らかな誤り』」(安田氏)があり、身代金についてはまったく事実が判明していない。  このほかにも、確証のない情報が流されている。だからこそ誤った情報を訂正することはもちろん、安田氏自身が事実と真実を語り伝えていくことが大切なのだ。
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誰が安田氏を拘束していたのか?
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【安田純平氏、帰国後初の講演会】
「シリアから生還した安田純平氏が語る 1×1.5mの独房で息遣いも許されぬ監禁生活――『スラムダンク』『地球の歩き方』に救われた日々」
講師:安田純平/日時:12月15日(土)14:00~16:45/場所:雑司ヶ谷地域文化創造館第2会議室/資料代:500円/主催:草の実アカデミー
http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/115-14bd.html#more

シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える