「激しい批判をする野党の後ろにも国民はいる」。総裁選出馬を決めた石破茂が語る国会・憲法・沖縄

「禅譲」はあり得ない

――今日は聞きにくい質問を先にしようと思いましてですね。あの後、本当は石破さん、総裁選挙結果として無投票となった2015年の総裁選挙に出たかったのではないか?と 石破:あの後? いや。私は、閣僚か党三役でいるときは総裁選に出ませんので。 ――無役のときでないと出ない? 石破:そうですね。 ――ポリシーとしては御出にならない? 石破:まあ、そういうことです。党三役や閣僚は、その政権に直接の責任を持っていると思っていますので。 ――政権に責任を持つ立場の人間が政権を批判するような行為、すなわち総裁選に出て真っ向勝負するということはすべきではないと? 石破:と言うのは私の考えであって、他の人がそうしても非難はしません。 ――なるほど。あのときに出られなかったことを実は後悔されてらっしゃるんじゃないのかなと。地方創生相として入閣に応じられたということを今になって後悔されてらっしゃるんじゃないのかなとずっと思っていました 石破:それはありません。 ――なるほど。禅譲を期待しておられたわけでも? 石破:それは全くないです。そういうようなことが朝日の何かに書いてあるらしいですけど、地方創生大臣という役職は、私自身、鳥取の出身だし、農林水産大臣もやってきたし、やっぱり農業、漁業、林業、そして地方は、防衛と並んで私のライフワークなんですね。 ――お父様(※石破二朗。元鳥取県知事、鈴木善幸内閣において、自治大臣兼国家公安委員会委員長)の時代からそうですね。 石破:はい。地方創生を手掛けるっていうことには、ものすごく自分としてやりがいを感じていたので、あそこで閣僚を受けなくて次に出るとか、閣僚を受けて禅譲とか、考えたことはありません。 ――党から求められた役職を全うして、政権から求められた役職を全うして、しかもそれがご自分のライフワークと合っていたから務め上げようとされたわけですね? 石破:そうですね。それに、禅譲なんてありえないもの。 ――無いですよね。いや、これは言外に岸田さんを批判してるわけではないですが(笑) 石破:少なくとも私の知っている中でそんなことはなかったです。 ――自民党の歴史上かつてなかった。 石破:おそらくそうだと思います。 ――政治ですから、政権というものは権力闘争の結果奪ったものばかりですしね。それがまた自民党のダイナミズムだと思います。この事務所の書棚には、かつての自民党の総理総裁の方々の写真が飾られていますが、この皆さんも戦って政権の座に座られた方々ばかりですものね。 石破:そうですね。 ――いや、「石破さんは一時期、禅譲を期待していたのではないか?」とずっと気になっていましたもので。 石破:そんなこと思ったことはありません。 ――なるほど。 石破:はい。あり得ません。

なぜ安倍首相は平成24年憲法草案を踏みにじったのか?

――もう一つ、石破さんと安倍さんの一騎打ちになって対比が明らかになってよかったなと思うのは憲法の話です。とりわけ憲法9条改正の扱いです。安倍さんは突如、「9条2項に手をつけないで自衛隊明記する」と、自民党の平成24年憲法改正草案を事実上踏みにじることを言いだしました。しかしこれは党内の議論等々全て無視する行為だと、石破さん以前からご指摘しておられます。なぜあんなことを安倍さんが急に言い出されたのでしょう? 石破:それはわかりません。平成24年の自民党憲法改正草案っていうのは、安倍総理が第1次政権をつくる前、幹事長をやっておられたときにおっしゃっていたことと、ほとんど一緒です。ですから6年前の総裁選挙には、安倍先生も、町村先生も林先生も石原先生も、そして私も出ましたが、あの時の街頭演説では、「憲法9条についての考えは、安倍先生と全く一緒ですと」言った記憶があります。 ――おっしゃるとおり、そう言っておられました。それに平成24年の憲法草案は、それなりの党内議論を手順を踏んでいってできたもんですから、それを幹事長の立場あるいは、総裁候補の立場として否定するわけにいかないってこともありましょうし。 石破:そうですよね、そもそも幹事長時代の安倍先生のご主張だったし。 ――それを今になって急になんで変わったのでしょうか? 石破:よく分かりません。何か、優先順位を変えるきっかけがあったのでしょうか。 ――安倍さんの主張をみていると、自民党改憲草案ではなく、「9条2項はそのままで第3項を追加し自衛隊を明記する」という案は、「自衛隊は違憲であるという学説を封じ込めることが目標」だそうです。党議の推移から考えると安倍さんの主張は理解しがたいはずのものですが、いまになって急に、安倍さんの支持者たちが、正当化するために大キャンペーンを張っているところでして、それも奇怪だなと思っていたところです。 石破:たしかに、不思議な感じがしますね。
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国会は「わかってください」という場
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日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?