それでは、「遺伝子組み換えの安全性には科学的な合意がない」との指摘はどうでしょうか?
この問題ついては、2012年にAAAS(アメリカ科学振興会)が以下の声明文を出しています(3)。
『科学的な結論は明確だ。バイオテクノロジーの分子技術による現代の作物改良は安全である。(中略)WHOや米国医師会、米国科学アカデミー、英国王立協会といった組織がリサーチを行い、いずれも同じ結論に達している』
AAASは世界でもトップクラスの科学団体です。科学に絶対はありませんが、ひとまず「科学的な合意はある」と考えるべきでしょう。
ここまで大勢の科学者が遺伝子組換えの安全性を支持するのは、精度の高い証拠があるからに他なりません。
もっとも有名なのは2012年にペルージャ大学が行ったメタ分析です。2002~2012年に出た1,783件の実験データをまとめた膨大な調査で、科学的な信頼度はピカイチと言えます。
その要点は以下のようなものです。
・科学的なデータは、遺伝子組み換え作物の安全性を確認している。遺伝子組み換えは、環境にも人体にも問題がない。
・遺伝子組み換え作物のなかに、特殊なアレルゲンや毒物が見つかったという事実もない。
・遺伝子組み換えが生態系を乱すという証拠もない。
かなり徹底的に安全性を認めており、このデータを批判派がくつがえすのは難しいでしょう。