トランプはオバマ時代に失った「中東での米国の存在感」を回復させることができるのか?

それぞれの「メリットと思惑」

 その見返りとでもいうべく、サウジは軍事力の強化として<1000億ドル(11兆円)の武器調達>を決め、<10年先には3000億ドル(33兆円)にまで及ぶ>という意向まで提示したのである。これは、米国で<100万人の雇用を生む>とされている。また、<400億ドル(4兆4000億円)を米国に投じて、サウジのインフラの改善>を要請した。(参照:「Publico」)  更に、サウジは米国のゼネラル・エレクトリック、シティバンク、ボーイング、ローキード・マーチンなど<19社にサウジの異なった分野に投資できる許可>を与えた。しかも、これらの企業は現地企業との合弁の義務はなく、<100%自社の出資ができる>とした。  ゼネラル・エレクトリックは早速<1500億ドル(16兆7000億円)の投資>を発表した。また、ローキード・マーチンは<ヘリコプターブラックホー・ホーク150機>のサウジでの建造を明らかにした。(参照:「El Politico」)  これらの投資はムハマンド・ビン・サルマン皇太子が主導した原油の輸出から脱皮した新しい産業国を目指す「ビジョン2030」の計画に沿った形での投資になる。  つまり、これも、サルマン国王が内心望んでいる第二王位継承者である息子ムハマンド・ビン・サルマン皇太子の存在感をより高め、次期国王に据える動きなのである。
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米国の威信復活なるか?
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