社労士は見た!ガッツある人が、いつの間にか“セクハラ野郎”に…今どきセクハラ事件簿4連発

「お手洗いだって伝えたのに……」  退職のきっかけとなったのは同僚からの言葉でした。ある時、川田さんは携帯がつながらないことが多いことに気付き、携帯ではなく彼女のデスクの内線に電話をしてきたそうです。斎藤さんは隣の同僚に「トイレに行く」と告げていたため、その同僚は川田さんに対し「お手洗いだと思います」と回答したそうです。  斎藤さんは、「ここをやり過ごせば何とかなる」と思い、トイレに静かに腰を下ろしたそうです。するとその瞬間、彼女の携帯が着信を知らせるバイブレーションで震えたそうです。そう、川田さんはトイレにいることに対し、「嘘をついている」と思い、すかさず斎藤さんの携帯に電話をしたそうです。 「これ以上は怖くてこの会社にはいられません」  本件が発覚した後、川田さんは上司に相当注意をされたらしいのですが、その都度「これは恋愛です」「僕と彼女の問題に口を挟まないでください」と譲らず、上司が「君にはリーダーという立場があるから新人の彼女は断ることができなかったんだ」と諭しても「自分はリーダーという地位を利用したことはない」「一人の男として接していた」と言い張っていたそうです。

新型セクハラを犯さないためには?

「本人がセクハラとは思っていないセクハラ」が起こる原因としては“セクハラは相手方の受け取り方による”という基本的なところを理解していないからでしょう。自身にとっては大恋愛であっても、なんにも思っていない相手にしたら大セクハラなのだということです。
大槻智之氏

大槻智之氏

 フラれても何度もチャレンジする“ガッツがある人”も相手の受け取り方によってはただの“ストーカー野郎”なのだということを理解しておかなければいけません。「気がついたら痛い奴として見られていた」なんてことにならないよう周囲の同僚や友人に、自身の行動について率直な意見を聞いてみましょう。  また、企業としては「セクハラ禁止」などといった簡単な規程上のもので済ませるのではなく、グループディスカッションの開催などで、より具体的にハラスメントになる事例などを共有していくことです。大恋愛と大セクハラの線引きを男女問わず共有しておくことで、少なからず社内のハラスメント防止には役に立つでしょう。また、女性社員がすぐに被害を訴え出ることができるようにメンターをおくなどのハラスメントを早期発見できる環境を作っておくことも有効です。 <TEXT/大槻智之> 【大槻智之】 ’72年4月、東京都生まれ。日本最大級の社労士事務所である大槻経営労務管理事務所代表社員。株式会社オオツキM 代表取締役。OTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD. 代表取締役。社労士事務所「大槻経営労務管理事務所」は、現在日本国内外の企業500社を顧客に持つ。また、人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、250社(社員総数25万人)にサービスを提供する
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