事件簿【3】「会社の近くの公園で待ち伏せされました。怖くて帰れません」
「いきなりDVDを渡され、そこにLINEのIDが書いてありました。連絡しないと文句を言われました」
「毎日、給湯室にいると必ず近寄ってきてしつこくLINEの交換を迫られました」
「フェイスブックの友達申請を無視したら怒鳴られました」
これ、すべて異なる女性社員から出た山下さんに対する苦情です。高井さんでも鈴井さんでもなくすべて別の女性社員です。
なかでも、終業後に会社から最寄の駅に向かう途中にある公園で待ち伏せをされたある女性社員は、「怖くて一人では帰れない」と訴えてきたため、いよいよ「注意レベルでは済まされない」と考えた杉田部長は山下さんを呼び出し、譴責処分としました。その際、杉田部長は山下さんにこう尋ねました。
「君は何をしに会社に来ているのか?」
それに対し山下さんはこう答え杉田部長を唖然とさせたそうです。
「婚活です」
これは、とある研修会社のベテランリーダーが女性の新入社員を退職に追い込んでしまったセクハラ事件です。
40歳で独身の川田さん(仮名)が新入社員に恋をしました。ある日の社内の懇親会で隣に座った新入社員の斎藤さん(仮名)を気に入ってしまった川田さんは、そこで、携帯の番号やメールを聞きだし、頻繁に連絡をするようになったそうです。
「川田さんはベテランだし、しかもリーダーなので『教える』と答える以外に選択肢はありませんでした」
最初はそうでもなかったのですが、だんだんと川田さんの斎藤さんへ対するアプローチはエスカレートしていきました。川田さんは退社時間になると彼女の携帯に電話し食事に誘っていました。
「はじめのうちは勉強させていただいているつもりでした」(斎藤さん)
川田さんが職場のリーダーということもあり、斎藤さんも食事にもなるべくついて行くように心がけていたそうです。ところが、あまりにも頻繁に誘われるので理由をつけて断るようになったそうです。それでも退社時間に鳴る電話は続いたそうです。斎藤さんはだんだん退社時間が憂鬱になり、退社時間の少し前になるとトイレに籠るようになってしまいました。