社労士は見た!ガッツある人が、いつの間にか“セクハラ野郎”に…今どきセクハラ事件簿4連発

「飲み会で一気をさせられた」「育児短時間勤務で早く帰るときにいつも嫌味を言われる」、あるいはパワハラやマタハラ。  社会保険労務士(通称:社労士)の私にはハラスメントについての多くの相談が寄せられます。昨今、さまざまな事象について「◯◯ハラ」と呼ばれることが多くなり、いわゆるセクハラについての相談が減っているように思われがちですが、私の知る限りそんなことはありません。

photo by はむぱんさん

自覚のないセクハラが増加している

「お尻を触られた」「卑猥な言葉をかけられた」といった直接的でわかりやすいセクハラは少なくなっていると思いますが、「自由恋愛です」「僕は真剣です」と言って相手の気持ちに関係なく口説いたりする「本人がセクハラとは思っていないセクハラ」が多くなっているように感じています。  確かに、最初は恋愛の範囲でスタートしているかもしれませんが、その相手が同僚で、しかも口説く場所が社内や懇親会で、さらに見込みがなくてもしつこく迫るといったことになればセクハラと判断されても仕方ありません。本人はいたって真剣なため「自分がセクハラをしている」といった感覚が乏しくなっているのが大きな原因の一つでしょう。

事件簿【1】「えっ?お花見って何のことですか?」

 きっかけは山下さん(仮名)と同時期に入社した神戸さん(仮名)が先輩社員に漏らした愚痴でした。そこからいろいろとセクハラの実態が明るみに出たのです。神戸さんは山下さんより年齢は少し下ですが、その先輩社員がことの詳細を尋ねるとこう続けたそうです。 「山下が同期会としてお花見を企画したんですよ」  神戸さんらの同期は男性社員5人なのですが、山下さんはなぜか女性社員の高井さん(仮名)と鈴井さん(仮名)を誘っていました。 「同期ではない2名の女性を誘った理由は聞いていませんでした」(神戸さん)  とりあえず、神戸さん以下同期の男性陣はお花見に備えて、いろいろと準備をしていたそうですが、前日の金曜日の夜、山下さんから同期に一斉に連絡があったそうです。 「中止になりました」  そこには理由もお詫びの言葉も添えられていなかったそうです。月曜日になり、顔をあわせても理由を説明しない山下さんを不審に思い、神戸さんたちは高井さんに理由を聞いてみました。すると、耳を疑うような返事が返ってきました。 「えっ? お花見って何のことですか?」
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高井さんがお花見の話を知らなかった理由
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