日本の物流会社からタイに派遣されてきた日本人男性はまだ28歳という若さで、元気もありあまっている。毎晩飲みに出かけ、休日はゴルフに旅行にと飛び回っている。そんな彼でさえも「さすがにタイで生肉料理は食べません。日本人経営の店でも食べたことはありません」と気をつけている。
タイ在住15年の日本人男性38歳は以前よりもずっとタイの飲食店が衛生的になり、安心して食事ができるようになったと絶賛しながらも生肉料理には気軽に手を出さない。
「私が生肉を食べるのは日本人経営の店だけ。あと、11月から2月の乾季で涼しい時期だけですね。それ以外は食べません」
サーモン刺し身などもタイでは食べられる
タイも性能のいい冷蔵庫は普通にあるが、気温が高いためドアの開閉で冷気が逃げやすく、日本ほど長く食材の鮮度を保てない。そしてタイは雨期に入るとサウナのように高温多湿になる。雑菌の栄養も豊富になり、より生ものの危険度は増す。
日本での会話で「食中毒になった」という内容はあまりないが、タイを始め東南アジアではよく聞く話題だ。食中毒経験者がみな「一度経験すると警戒心が強くなる」と口を揃える。筆者の周囲でも経験者はやはり生の料理を警戒するか避けるし、未経験者はあまり気にせず口に入れてしまう。タイでは衛生観念が日本と違うので、屋台であろうが高級店であろうが厨房の衛生レベルに実は大きな違いはない。そのため、食中毒に遭うか遭わないかは運に左右される部分もある。最近のタイでは聞かなくなったが、以前は飲みものに入っている氷で当たってしまうということもあった。