生肉料理が食べられる店も多いタイだが、ある和食店経営者は次のように警告する。
「やっぱり気温。鮮度が落ちやすいので、食あたりする可能性は日本よりもずっと高いです。日本人が管理しても難しいくらいですから、生肉の扱いをほとんど理解していないタイ人経営店は気をつけた方がいい」
日本で問題になったときもやはり食中毒が第一だった。管理方法を知っているプロであっても扱いは難しい。それが生肉料理に慣れていないタイ人調理師やオーナーでは不安はある。さらに、牛肉以外であれば肝炎やカンピロバクターなども危険だ。タイ人調理師にもプロ意識を持つ人も少なくないが、もはや「プロ意識」の問題ではないのである。そして、レベルが低い調理人の数も当然、少なくない。
タイで出されるレバ刺し。
例えば、先日話をしたタイ人オーナーの和食店に勤めるタイ人調理師は寿司も握れると豪語していた。
「日本料理は簡単。寿司なんて魚を切ってご飯に乗せるだけ。こんなにシンプルな料理はないです。しかも高く売れるんだから、これから開くなら和食店ですね」
寿司がなんたるかを語れるほど筆者は寿司を食べ慣れていないが、それでもわかる。寿司はただ握ればいいものではない。日本料理経験者でさえこの程度のレベルもいるのだ。