「高い」と言われがちな北朝鮮ツアーに変化の兆し到来。その裏事情とは?

A社もKITCの対応の変化を容認

 一方で、単純にそうとは言い切れないと疑問を呈すのは、取材での訪朝経験を持つマスメディア関係者だ。 「A社は2014年から段階的に認められた日本のテレビ局などの取材訪朝手配を独占しています。我々取材希望のマスコミはA社を通さないと許可されず費用は1人あたり100万円します。昨年の5月6日から4日間にわたり36年ぶりに開催された朝鮮労働大会も日本から多くのマスコミ関係者が取材訪朝しているのでA社は荒稼ぎしています」  ただ、そもそもA社の本来のメイン業務は在日朝鮮人への旅行手配業務だ。昨年1年間で推定1300人ほどの在日朝鮮人が訪朝している。この人数は日本国籍者の10倍ほどとなり、A社としては、日本人個人客を無理して扱う必要もなく、在日朝鮮人やマスコミ手配だけで十分な利益を得ているのだ。 「A社は高くて、連絡も遅く、訪問地のリクエストを出しても本国へ確認もせずに行けないと即答するなど日本人の個人客にはすこぶる評判が悪いので、KITCはA社よりも安く手配できる他の旅行会社に個人客を任せたり直接対応することで、A社を本業の在日朝鮮人向けの旅行業務と稼げる日本のマスコミ対応へ特化させて棲み分けをしようとしているようです。そのためA社もKITCによる直接連絡を認めたのではないでしょうか?」(同)  今回の両社の関係変化が、長期的に日朝関係へ肯定的な影響をもたらせ拉致問題を含め諸問題解決へとつながることを願うばかりだ。 <取材・文/大手町三 photo byjara guzmán jacoibo5731 via flickr(CC BY 2.0)>
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