「高い」と言われがちな北朝鮮ツアーに変化の兆し到来。その裏事情とは?

A社の「独占状態」に亀裂

 1つは、2002年に北朝鮮が公式に認めた日本人拉致問題だ。これ以降、日本での北朝鮮に対する世論が厳しくなり訪朝者は激減。日本政府による監視も強まり、活動に支障が出始めた。  2つ目は、インターネットの普及により海外の旅行会社との比較検討が一般的になった点だ。これまでA社が蹴落とすべきライバル旅行会社は日本国内のみだった。しかし、インターネットの浸透によりライバルは世界中へと広がってしまったわけだ。  2002年以降の日本国籍者の訪朝者は年間100人前後と、ただでさえ少ないパイは、海外のより安く、対応もいい旅行会社へ流れていき、A社はシェアを減らしていく。こうして、同社の独占状況は音を立てて崩れていった。  しかし、A社もただ指を咥えていたわけではない。2010年以降は、北朝鮮で唯一の日本人担当旅行会社である「朝鮮国際旅行社(KITC)」を通じて、中国などのライバル社へも圧力をかけて日本人の扱いを半ば力づくで停止させてきたのである。A社は、中国の旅行会社で日本人社員が在籍するB社へも圧力をかけてきたが、2014年末にはB社を自らの傘下へ加え、日本人社員を他社への妨害活動へ加担させるなど90年代の栄光ある独占状態を取り戻すために躍起になっていたようだ。
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変わりつつあるKITCの姿勢
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