「高い」と言われがちな北朝鮮ツアーに変化の兆し到来。その裏事情とは?

photo by jara guzmán jacoibo5731 via flickr(CC BY 2.0)

 今年、2017年は、北朝鮮が1987年に日本人の一般旅行者受け入れを解禁して30周年という節目の年になる。  そんな北朝鮮へのツアーが解禁してからというものの、「日本総代理店」と称して、台東区にあるAという旅行会社が、日本からの北朝鮮ツアーを一手に担ってきた。  A社は、40年近く前に設立され、元々は在日朝鮮人向けの旅行手配をする旅行会社として始まった会社だ。  朝鮮籍=北朝鮮国籍という誤解(正確には朝鮮籍は日本統治時代の朝鮮半島出身者という一種の屋号であり北朝鮮国籍を指すものではない)などもあり、国際的な信用に乏しい朝鮮籍の在日朝鮮人は、特に海外旅行へのハードルが高かった。そのような背景から、訪問国のビザ手配などを同社が担当していたこともある。現時点でも年間数千人ほどの在日朝鮮籍者の旅行手配をしているという。朝鮮学校の祖国訪問などの手配も同社が手がけているとされている。  そして、1987年に一般外国人の訪朝が認められて以降は、A社は日本国籍者向けの北朝鮮ツアーも手配してきた。“解禁”当初、日本で北朝鮮ツアーを手配していたのはA社も含めて8社存在した。しかし、朝鮮総連傘下であるA社の影響力は絶大で、例え他社で申し込んでも→北朝鮮→A社経由で、総連が訪朝者の事前身辺調査、通称“A社チェック”を行うなど事実上、Aが独占状態を築いてきた。  過去にA社の社員が独立して北朝鮮専門旅行社を立ち上げたことがあったが、同社からの圧力で潰されるなど独占体制を脅かすライバルへ目を光らせてきた。  しかし、21世紀へ入ると、順風満帆かに見えた同社に2つの大きな転機が訪れる。
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A社の「独占状態」に亀裂
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