OneWebの衛星。わずか150kgほどの小さな衛星になる予定である Image Credit: OneWeb
それでもワイラー氏がOneWebを立ち上げたのは、十分な勝算があってのことである。
以前、拙稿『
“手のひらサイズ”の人工衛星が拓く宇宙革命!ブームになりつつある超小型衛星に秘められた可能性とは?』で紹介したように、近年、電子部品の小型化、高性能化などに伴い、小さいながら高性能な人工衛星を造ることができるようになった。小さいということは安価に造れるし、大量生産すればさらに安価になる。
そして衛星が小さいということは、1機のロケットに複数載せて打ち上げることができるため、衛星1機あたりの打ち上げコストも安価にできる。
すでにOneWebは、質量150kgの小型衛星の設計を終え、製造を欧州の航空・宇宙大手のエアバス・ディフェンス&スペースに発注している。さらに欧州のロケット運用会社アリアンスペースと、打ち上げの契約も結んでいる。早ければ2017年から打ち上げが始まる見通しで、2020年ごろにも地球を覆う衛星網が完成し、サービスの提供を開始できるという。
また、ユーザーは特殊な機器をもつ必要はなく、家の屋根や学校の屋上などに衛星を通信する小さな装置を設置し、それを介する形で既存のスマートフォンやタブレットなどをネットにつなぐことができるようになっている。つまりサービスを受けるのに必要な初期投資を限りなく小さくでき、開発途上国でも導入しやすい。
そして実際に30~40億人とされる人々にインターネットが行き渡れば、たとえ定額な利用料金でも多くの収入が得られる上に、彼らがクラウドソーシングなどで他国の経済に入り込むことになれば、開発途上国はもはや途上国ではなくなり、人類の生活はさらに豊かになるかもしれない。
もちろんすでにインターネットが十分に行き渡っている国でも、航空機からのネット接続や、災害時のバックアップ回線といった用途での活用も考えられる。