ソフトバンクが10億ドル出資する宇宙企業「OneWeb」ってなんだ!?

死屍累々の低軌道衛星通信

 地球の周囲の、比較的低い軌道に多数の人工衛星を配備し、全世界に通信網を構築しようというアイディアは、実は目新しいものではない。  たとえば登山や海上の船からの電話手段として知られるイリジウム携帯電話は、実際に約70機もの人工衛星を使ってそのサービスが提供されている。同様のサービスは、グローバルスターやオーブコムといった企業も提供している。  また1990年代には、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長らが「テレデシック」という、880機もの衛星からなる衛星インターネット計画を立ち上げている。  しかし、イリジウムは今も事業こそ続いているものの、設立直後には破産しており、グローバルスターやオーブコムも軒並み破産を経験している。そしてテレデシックも最終的には計画倒れに終わり、実現には至っていない。  その理由はいくつかあるが、おおよそ共通しているのは人工衛星の開発や打ち上げにかかるコストが高いこと、また90年代以降、先進国で海底ケーブルやブロードバンド回線が爆発的に普及したことにより、衛星を使う意味が薄れたことなどがあった。
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OneWebの勝算
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