リアルな事例としては以下のようなものがあります。
「自信があります。」「任せて下さい。」と言いつつ、恐怖の微表情を浮かべる切羽詰まったビジネスマン。
「元気です。」「楽しいです。」と言いつつ、悲しみの微表情を浮かべる自殺願望者。
「不安です。」と言いつつ、幸福の微表情を浮かべる某隣人殺人犯。
このように、感情に関わる言葉と微表情とが一致していない場合、その口にされた感情はほぼウソと即断することが出来ます。言葉は簡単にコントロール出来ますが、微表情は出来ないからです。とは言え、ウソを確実にするために、こうした微表情をキャッチしても「あなたはウソをついていますね」と即座に相手に言うことはありませんが。
どんな知識・技術でもそうですが、微表情の守備範囲をよく知ることが、微表用の誤用や乱用を防ぎ、効果的な活用の必須条件になるのだと思います。今後も本連載では、微表情や表情という情報の使用上の注意とともに、効果的な活用法を紹介していきたいと思います。
<文・清水建二/写真/
ぱくたそ>
1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。