社労士が教える、こんな社長は要注意! ブラック企業に陥りやすい4つの特徴

ブラック企業は見抜けるか?

 求職者がブラック企業かどうかを判断する際の情報源は「インターネットでの評判」が71.3%で第1位となっています(日本労働組合総連合会「就職活動に関する調査」)。  ただし、それが本当の情報かどうかは分かりません。その会社の社員がなりすましでイメージがよくなるような書き込みをしているという話も聞いたことがあります。 1.ブラック率が低そうな会社を探す  現在、「くるみん(次世代認定マーク)」や「Wマーク(安全衛生優良企業認定)」など企業はさまざまな認定を取得しています。それらは、ある一定の要件をクリアした企業ですので、そのマークに関するところについては信頼がおけるでしょう。例えばWマークであれば、年次有給休暇消化率が70%なんて会社もあります。  これらを取得しているほとんどの企業は、そのホームページ上でマークを掲載しています。そのほか、サイバー法人台帳ROBINSで労務状況を掲載している会社もありますので参考になります。これらの会社は法令違反を犯している確率は低いでしょう。 2.本当の評判を聞く  OBやOGのほか、勤務経験のある知り合いにあたるのが確実でしょう。なかには、退職の経緯が気に入らず、悪く言う人もいるでしょうが、インターネットよりは信頼できそうです。確認するポイントとしては次のような項目が考えられます。 ①サービス残業の有無 ②月の残業時間の上限 ③年休申請のしやすさ ④社長の考え方 ⑤会社のノリ  なかでも④⑤は重要です。それは、「私にとってみればブラック企業」かどうかの基準は自身のヒアリング以外では判断できないからです。たとえば、その会社の社風が「体育会系のノリ」なのは法令違反ではありません。行き過ぎてパワハラとなる確率は高いかもしれませんが、単なる社風というだけではパワハラにもならないのです。  ④の社長の考えと自身の考えが乖離している場合は、A社長のような法令違反は論外ですが、法令違反が無くとも厳しいでしょう。そもそも社長の考えについて行けないわけですので、人事評価のポイントにもついて行けない可能性があるため、出世も難しいわけです。  また、⑤会社のノリは特に重要です。ここが合わないと「飲み会や社員旅行がツライ」なんてことや「プライベートで付き合いたくない」と思っていても、全体的なノリに巻き込まれてしまうかも知れません。 3.思い切って聞いてみる  思い切って、面接で質問してみてはいかがでしょうか。離職率や残業時間(一番多い人)、休日出勤の平均的な日数、年休の消化率など。少なからず誠意をもって答えてくれるかどうかを判断基準とすることも良いでしょう。  ブラック企業の定義はそれぞれです。法令違反や倫理に反する企業は当然ブラック企業です。理由はどうであれ、それらは是正しなくてはなりません。ただし、そことは異なり、社風や文化そのものでブラック企業扱いされてしまう会社もあります。人の感じ方によっては「居心地の良い会社」であったり「ブラック企業」であったりするわけです。そこでミスマッチになると会社も社員も不幸になるだけです。企業は会社説明会や面接の場で「社長の考え」や「会社のノリ」を説明することによって、「私にとってのブラック企業」は生まれなくなるでしょう。
大槻智之氏

大槻智之氏

「自社の社員すら幸せにできない男が世の中を良くするなんて出来ない」  A社長も今では、「法令順守は当たり前、働き甲斐のある会社にして、輝く未来を皆で実現したい」と方向転換をしています。ちなみに、深夜スタートの飲み会は「本当に希望者だけで行くようにしています」とのことでした。 <TEXT/大槻智之> 【大槻智之】 ’72年4月、東京都生まれ。日本最大級の社労士事務所である大槻経営労務管理事務所代表社員。株式会社オオツキM 代表取締役。OTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD. 代表取締役。社労士事務所「大槻経営労務管理事務所」は、現在日本国内外の企業500社を顧客に持つ。また、人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、250社(社員総数25万人)にサービスを提供する
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