A社長がブラック社長になってしまった原因は、「理念は法令よりも尊い」と考えてしまったところです。また、日ごろの語りかけにより、「すべての社員が同じ想いである」というところもその一つです。したがって、誰でも自分と同じレベルで頑張ると思っていたのです。
確かに、社長の考える経営理念は素晴らしいものです。また、その実現に向かって突っ走る姿はカッコいいかもしれません。しかし、そのためにはどんなものでも犠牲にしても良いということはありません。社会全体のルールの範囲で目的に向かい走らなければならないのです。この会社は離職率が高止まりを続け、採用も難しくなり、経営上、難しい局面に立たされてしまうのでした。
かつて、ブラック企業と言えば「反社会的な団体や組織とのつながりを持つ会社」という意味で使われていました。しかし、近年では、「就職しない方がよい会社」や「早期に退職をした方がよい会社」「社員を使い捨てる企業」という意味で使われるようになりました。
ブラック企業と呼ばれる要因としては「長時間労働」や「残業の未払い」などコンプライアンス上に起因することが多かったのですが、インターネットなどを見ると、「飲み会が多い」や「上司からしょっちゅう仕事にも関係ないLINEが入る」などブラック企業と認定する範囲が従来よりも広くなっているようです。