タイ人からも「不況」を嘆く声が。タイ経済の今後はどうなる?

タイの景気を後押しするタイ人気質

 しかし、この景気停滞も今が「底」だという。その最大の要因は「タイ人は宵越しのカネを持たない気質」にある。  そもそも一般タイ人のカネ離れのよさは見ていて気持ちがいい。2008年のリーマンショックの際、タイ国内もだいぶ景気が落ち込んだにも関わらず、半年後にはリーマンショック前とほぼ同等の水準にまで景気が回復していた。それほどタイではカネが好循環で巡っているように見える。  また、不景気を口にする人はいるものの、タイは失業率が依然として高くない。2011年以降1%未満で推移している。というのも、飲食店を見ても従業員数が多いなど賃金が安いために大人数を雇用できるのだ。その一方で政府も年々法定最低賃金を上げており、多くにおいてタイ人の世帯収入は増えている。そこに加えて、あるカネはどんどん遣っていく気質である。デパートなどの商業施設は雰囲気が明るく、歩いているだけで元気になってくるほどである。  こうした気質を持っていることもあって、長期不況の経験があまりない。  タイ中央銀行や国家経済社会開発委員会などが発表しているタイ主要経済指標といった数字を見ても実質GDPは2015年は前年比2.8%、2016年4-6月期は3.5%と成長している。  確かに自動車販売台数は顕著に落ち込んでいる。2013年の133万台レベルが、14年に88万台、2015年は約80万台にまで落ちている。タイの日本人社会の景気はトヨタを中心とした日系自動車メーカーの生産台数に強く影響される。それが在住日本人の景気に対するフィーリングに直結しているようだ。しかし、先の小田原氏は景気回復への情報を持っていた。 「トヨタの生産台数が2017年に上がる見通しです。好景気のときの車の買い換えが来年に始まるとされているのです」
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それでも残る不安要素
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