トランプ、ドイツ銀、原油価格……。マーケットのリスクをおさらいしておく

geralt via pixbay(CC0 Public Domain)

 9月21日は、日米の金融政策に関して重要な日であった。  日本銀行は日銀金融政策決定会合で、新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。(参照:「金融緩和強化のための新しい枠組み:『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』」※pdf)主要な操作変数が、「量」から「金利」へと変更された。  そして、米連邦準備理事会(FRB)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定した。労働市場が一段と改善しており、年内に一回の利上げを行う可能性を強く示唆した。  9月21日まで、FRBの要人発言や経済指標の発表から、FRBによる利上げの可能性が高まると、ドル高となり、米長期金利が上昇し、新興国・資源国通貨が下落し、原油やコモディティの価格が下落する傾向が見られた。一方、利上げの可能性が低くなると、上記の逆の動きが見られた。9月21日の利上げ据え置き決定により、マーケットが崩れることは無かったが、もしも利上げしていたら、新興国・資源国への悪影響は大きかっただろう。すなわち、9月21日時点では、米国の利上げに対する新興国・資源国の「耐性」は、まだ、ついていなかったと言えるだろう。  日銀が従来のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の効果や副作用について「総括的な検証」を行った上で、何もしなかったとしたら、あるいは、FRBが利上げを強行していたら、マーケットは拙い状況に陥っていただろう。以下、日米中央銀行の金融政策の他に、最新のマーケットに潜むリスクを点検してみたい。①米大統領選のトランプ候補当選リスク、②ドイツ銀行の破たんリスク、③原油価格変動リスクを対象として、考えてみたい。
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米大統領選のトランプ候補当選リスク
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