そごう柏店がついに閉店。止まらぬセブンアイ系百貨店の閉店ラッシュの背後にあるもの

そごう・西武と高島屋の命運を分けたのは?

 柏高島屋(現在の売場面積48,698㎡)は柏そごうと同じく1973年に東武鉄道柏駅ビルに開業した。  当初の売上はそごうに大きく水をあけられていたものの、その後、改装と増床を繰り返し、1992年にはショッピングセンター開発を行う子会社「東神開発」の手で増床を図り「柏高島屋ステーションモール」を形成、さらに2008年には新館も開業。近年は若者をターゲットとしたファッションブランドも導入しており、従来は百貨店であまり買い物をしなかった層にまで客層を広げることに成功している。

柏高島屋ステーションモール。若者世代の取り込みにも成功している

 一方の、そごう柏店にしても店舗改革をまったく行っていなかった訳ではない。  例えば、2014年からは大手百貨店では比較的珍しい産直野菜の売場を導入。また、地元で作られる「柏ビーズ」を使った雑貨の販売も開始したほか、2015年からは柏市の若年人口割合・ファミリー世代の多さに着目するかたちで「新入社員が選ぶ初任給に送りたいプレゼント」を提案するなど、比較的若い世代に向けた品揃えと商品提案も開始していた。また、合理化による直営床削減のため2012年に導入したカルチャースクールも、新たな顧客を獲得するきっかけの1つにもなり得た。  しかし、そごう柏店では、2005年に別館であるスカイプラザにビックカメラの導入をおこなったものの、柏髙島屋と比較すると有力テナントや時代の流れに乗った新ブランド、若者に人気のブランドの導入が少なく、微小な店舗改革もこれまでのイメージを一新するようなものではなかった。そればかりか、合理化によりシャンデリアの撤去やからくり時計の停止、販売員の大幅削減などを行ったことで「首都圏一等地の百貨店らしさ」がどんどん失われていくこととなった。  店舗の雰囲気が「デフレ化」するなか、百貨店らしさを求める客は髙島屋へと流れていった。一方、館内で販売する商品はこれまでのそごうとそれほど大きく変化せず、さらに現在のそごう柏店において品揃えの中心となっている百貨店向けのミセス向けアパレルでは、多くのブランドが柏髙島屋においても同じ商品を取り扱っているため、そごうは新たな顧客を定着させることもできなくなっていた。結果として、柏駅前の百貨店は「ハレの日から日常まで幅広い世代を対象とする髙島屋」に対し、「かつては豪華だったシニア向けの古いそごう」というイメージで固定されることとなった。  特に近年のそごう柏店は、抜本的な大型改装を行わずごく小規模の改装を繰り返したことが裏目に出ており、その結果、店内の動線が良くない部分も見受けられたほか、髙島屋と比較して老朽化も目立ってきていた。2015年2月期の売上高は、柏高島屋が358億円だったのに対し、そごう柏店の売上は121億円にとどまり、「柏そごう」最盛期の僅か2割程度となっていた。
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閉店すればそれで終わりではない
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