そごう・西武の事業縮小のなかで、象徴的なものの1つであると言われるのが、JR柏駅前に立地する「そごう柏店」(柏そごう)の閉店だ。
「柏そごう」は1973年10月に開店。地上14階、地下1階、3館体制で、売場面積は39,729㎡。 開店当時は千葉県最大の百貨店で、そのキャッチフレーズは「みどりのまちにお城のような百貨店」。「柏髙島屋」、「丸井柏店」などと同年の開業であり(丸井は旧店からの移転開業)、それぞれが国鉄柏駅とダブルデッキ(ペデストリアンデッキ)で連結されるという、当時としては画期的な街づくりで注目を集めた。
そごう柏店
「柏そごう」はそごうグループで初の回転展望レストランや複層立ての連絡通路を設置。また、出店時から2000年までは「株式会社柏そごう」の運営で、地域貢献の姿勢を前面に打ち出し、別館は地元店舗が入居する専門店街を併設した「スカイプラザ」とするなど、のちのそごうの店舗づくりにも大きな影響を与えた。
1991年にはピークとなる年商590億円を記録。開店以来、長きに亘り柏市の地域一番店として、そしてそごうを代表する大型百貨店の1つとして君臨してきた。14階という高層部にある回転展望レストランは柏市内の至る所から見える存在であり、今日まで柏駅前のシンボルとなっている。
もちろん、近年におけるそごう柏店の経営不振は「流山おおたかの森」(流山市)や「ららぽーと柏の葉」(柏市)などといった、つくばエクスプレス沿線における大型開発の影響も捨てきれない。しかし、そごうの最大のライバルである「柏高島屋」は、現在も比較的好調である一方で、かつて長年に亘って髙島屋よりも多くの売上があったそごう柏店が閉店にまで追い込まれたのは何故であろうか。