先ほど見たようにカカクコムは資産のほとんどが現金で、土地などのモノを持たないITベンチャーの極致であるから、一度抜かれたらあっという間に転落して全てを失うことを恐れているのかもしれない。万が一、食べログが没落してももう1つの柱である価格.comもいまだに伸び続けているのだからどっしり構えればいいと思うが、とにかく態度に余裕がない。
もう1つ気がかりな指標がある。売上原価率は低いままだが、売上高に占める販管費の割合がじわじわと上昇しているのだ。
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繰り返すようだがそれでも高い利益率を維持しているからそこまできにする必要はないが、人件費や広告宣伝費、代理店への手数料を含む販管費の上昇からは、食べログの売上を増やすための必死の努力が透けて見える。
自前の記事コンテンツなども増やし、食べログのユーザー数やユーザーの滞在時間を増やして媒体の価値を高めつつ、営業を強化して飲食店から取れるお金を増やしたいのだ。
食べログは、これまで通りユーザーを最優先に考えた上で、飲食店とも良好な関係を築いていってほしい。今回、食べログはSNSの力によって炎上したが、最大の競合となりつつあるRettyは、そのSNSの力をうまく使うことで食べログの牙城を揺るがしているのだ。
【決算書で読み解く、ビジネスニュースの深層】
<文/大熊将八>
おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは
@showyeahok