固体推進剤の中で一番身近なのは火薬だろう。ただ、実際の宇宙ロケットやミサイルでは「コンポジット推進薬」と呼ばれる、ポリブタジエンなどのゴムの一種を燃料に、酸化剤として過塩素酸アンモニウムと、さらに勢い良く燃えるように粉末のアルミニウムを混ぜて生成したものが使われる。
液体ロケットと固体ロケットのどちらが優れているかは一概には言えず、目的によって異なる。たとえば液体ロケットは、エンジンを繰り返し点火したり停止したりでき、また推力を調節することもできる。一方の固体ロケットは、推力の調節などはできないものの、液体よりも比較的大きな推力を出すことができ、長期保存ができるなど取り扱いもしやすいという特長がある。
また、よく固体ロケットの特長として「造るのは簡単」と言われることもある。たしかに液体ロケットは、エンジンの中を配管などが這い回っているため構造が複雑で、誰の目から見ても製造は難しいと感じる一方、固体ロケットは巨大なマカロニ、あるいは竹輪のような形状をしているため、一見すると簡単に造れるようにも感じられる。しかし、実際には固体ロケットはノウハウの塊であり、決して簡単というわけではない。したがって、液体も固体もそれぞれ違った難しさがあると言うほうが正しい。
弾道ミサイルとして使う場合には、圧倒的に固体のほうが好まれる。基本的に火を点ければすぐに飛ばせるため、発射前に推進剤を充填する必要がなく、敵から準備の動向を知られにくい。長期保存ができる点もミサイル向きである。すでにスカッドやノドン、そしてムスダンといった液体推進剤のミサイルをもつ北朝鮮が、技術的にまったく別系統の固体ロケットの開発にわざわざ手を出したのは、まさにこの利点を重視してのことだろう。
なお、外見がR-27やムスダンに似ている理由は定かではないが、おそらくR-27は実際にソ連でSLBMとして使われていたため、その姿形を流用することで、開発のリスクを少しでも減らしたかったのだろう。