KN-11は、R-27やムスダンとは別の技術を使うミサイル
KN-11と、北朝鮮がすでに開発、製造に成功している「スカッド」や「ノドン」、「ムスダン」といったミサイルと比べた際に、潜水艦から発射するか、それとも陸からか、という違い以外に、ミサイルそのものの技術にも大きな違いがある。
KN-11はこれまで、かつてソ連で開発された液体燃料のSLBM「R-27」を基に開発されたミサイルだと考えられていた。R-27は1960年代、当時のソ連がもつロケット技術の粋を集めて開発されたミサイルで、高度な技術と、それによる高性能さが特長だった。すでにソ連(ロシア)からは退役しているが、北朝鮮は1990年代に、ソ連崩壊の混乱に乗じてR-27の技術を手に入れたといわれている。ムスダンはまさにこのR-27を基に開発されてミサイルで、今年6月に発射に成功したことから、北朝鮮は一応はR-27の技術を習得したものと考えられる。
原型であるR-27がSLBMだったことから、KN-11もまたR-27が基になっているのでは、言葉を変えるとムスダンのSLBM版なのでは、という見方をされるのは至極当然のことだった。ところが、今回の発射試験をはじめとして、これまでに北朝鮮が公開したKN-11の写真や映像を見る限り、外見こそR-27やムスダンに似ているものの、使っている推進剤が異なることがわかっている。
ミサイル(ロケット)の推進剤(燃料と酸化剤)には、液体推進剤と固体推進剤の大きく2種類がある。液体推進剤は、たとえば液体水素と液体酸素、ケロシン(ジェット燃料)と液体酸素といったように、推進剤が文字どおり液体の状態のものを指す。固体推進剤もまた文字どおり、推進剤が固体の状態のものを指す。液体推進剤を使うロケットを「液体ロケット」、固体推進剤を使うロケットを「固体ロケット」とも呼ぶ。