大西卓哉飛行士、宇宙へ出発。これからの日本の有人宇宙開発はどうなる?

NASAが開発中の次世代宇宙船「オライオン」 Photo by NASA

4つの極に分かれる世界の有人宇宙開発

 大西飛行士は今年10月末~11月はじめごろに帰還する予定となっているが、さらに来年(2017年)11月ごろには、大西飛行士や油井飛行士と同期の金井飛行士が、ISSへの長期滞在に旅立つ予定となっている。  その次に誰が飛ぶのか、といった具体的な予定はまだ決まっていないが、ISSは現時点で2024年ごろまで運用が続く見通しのため、今後も定期的に、日本人宇宙飛行士によるISSへの遠征が続くことになるのは間違いない。  しかし、問題はさらにその後、ISSの“次”にどうするか、ということである。  現在、有人宇宙船を保有する、すなわち人を宇宙へ送り込める能力をもった国々は、徐々に「ポストISS」となる計画を進めつつある。  たとえば米国は、まず無人の宇宙船を使って小惑星を月の近くまで運び、そこに宇宙飛行士を送り込むという計画(小惑星転送ミッション)を立てている。地球に比較的近い空間で、小惑星や火星といった遠くの宇宙で活動するための予行練習をしようという意図である。そして、それを踏まえ、2030年代には有人の火星探査を計画している。すでに、月や火星に大量の物資を送り込むための超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム」や、月や火星まで飛行できる宇宙船「オライオン」の開発が進んでいる。

NASAは現在、小惑星を月周辺の軌道に運び、そこへ宇宙飛行士を送り込んで将来の深宇宙探査の予行練習を行う計画を進めている Photo by NASA

 また、忘れてはならないのが民間企業の動きである。本誌でも何度か取り上げている、起業家イーロン・マスク氏の宇宙企業スペースXや、Amazon.comを設立者として知られるジェフ・ベゾス氏のブルー・オリジンなどは、それぞれ独自に有人宇宙船の開発に邁進している。とくにスペースXは、すでに無人機の飛行を何度も成功させており、有人宇宙船も来年には初飛行を迎える予定で、さらに2018年には無人ながら火星への長期飛行を試験すると表明している。

イーロン・マスクのスペースXは、2018年にも火星へ無人の宇宙船を送り込む試験を予定している Photo by SpaceX

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ISSの先を見越す各国
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