LINEとクックパッドに見る、国産ITサービスが海外戦略に失敗するワケ

クックパッドお家騒動の根源

 現在のクックパッドは売上高が147億円、営業利益は65億円で営業利益率40%という日本有数の高利益率の企業で、現預金も売上高とほぼ等しい140億円も有する盤石の経営体質だが、前述した多額ののれんの減損は、それを揺るがしかねないリスクになる。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=102042

クックパッド、セグメント別売上高

 過去、絶頂期のグリーも現地企業の買収によりアメリカに進出したが、のちに180億円超の減損損失を計上。同社が上場後初の赤字を出すきっかけとなったことは記憶に新しいだろう。  さて、’12年に佐野氏から代表の座を譲り受けて以降、海外買収に着手するかたわら国内での事業多角化を迅速に進めたのが、穐田氏だ。  個人レッスン予約サービスの「コーチ・ユナイテッド」や習い事のプラットフォーム「サイタ」などの生活インフラ全般の関連事業を買いあさり、昨年は約29億円を投じて「みんなのウェディング」を買収した。なんだか、ベネッセやリクルートがやっていそうなサービスばかりで、もはや「料理を楽しみにすること」とは無関係だ。  今のところレシピ事業が売上に占める割合が圧倒的に高いままだが、佐野氏はレシピサービスに集中して海外進出に力を入れるべきだとして、穐田氏の路線に真っ向から反発。両者の溝は埋まらず解任劇に発展した。  結果として、市場が支持したのは、創業者ではなく、穐田氏の方だった。現に、株価は、穐田氏の社長就任以降およそ10倍になり、お家騒動が表面化した際は、一時ストップ安になるほど急落した。佐野氏が取締役に復帰し、騒動が収まって以降も、株価は以前の半額ほどだ。
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IT分野での世界進出の難しさ
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