LINEは日本、台湾、タイの3か国でトップシェアを誇り、タイでは独自にTV配信まで手がけるほど普及している。しかし、それ以外の国ではアメリカ発でFacebookが買収したWhatsAppか、中国のテンセントが手がけるWechatが首位。インドネシアでなんとかトップ争いに加われている程度なのだ。
約1年前、’15年4月に森川亮氏の後を受けて社長に就任した出澤剛氏は「我々は世界にチャレンジするチケットを手にいれた」と語っていた。しかし、今回の上場会見では、一転、「世界での陣取り合戦は終わった」と述べ、前述した4か国のシェアを確保し、ポータルとして事業を多角化していく構想を語った。
世界を獲ることを諦める替わりに、タクシー配車や音楽定額配信、ライブ配信、漫画などすでに手がけている事業のマネタイズと更なる多角化、M&Aを加速させていくということだ。
そもそも、IT企業であるLINEは、メーカーなどと違ってそこまで固定費がかからない。国内でメッセージングサービスだけを運営するのであれば、わざわざ複雑な手続きを踏み、情報公開を義務付けられてまで上場して資金調達する意義は薄い。
そんな条件下で、LINEが上場する目的は大きく分けて2つしかない。
多くのIT企業が上場する目的、その1つは海外進出で、もう1つは事業投資による多角化だ。LINEはこれまで両方をやろうとしていたが、今後は後者に集中していくのだろう。