実は巨大出版社だった「デアゴスティーニ」の堅実すぎる事業モデルとは?

「週刊日本の神社」の裏側にある超ロジカルなスキームとは?

 それでは、もう一つの疑問②「この結構マニアックな趣味の雑誌を販売して、本当に今のご時世にTVCMを流しても成り立つビジネスなのだろうか?」についてですが、そもそもビジネスとしては上記で触れた通り、十分成り立っているであろうことが既に想定されていますので、それを実現している強みについて4P戦略に基づいて考えてみたいと思います。

Product(製品)入念な事前リサーチと継続させる細かな工夫

 デアゴスティーニ・ジャパンでは1年に10~15くらいのタイトルの販売を行っているそうですが、あのユニークというか一風変わったニッチなタイトルは、当然ながら思いつきで決められているわけではありません。まず、過去蓄積された販売実績データに基づいた企画を社内で立案、その後、定量的なインターネット調査から定性的なインタビュー調査まで入念に行い、商品化が決まるわけですが、この間短くても半年、長い場合はなんと5年もの期間をかけるそうです。  というのも、確かにパートワークの場合、その瞬間にどれだけ人気があっても、企画終了まで長い期間をかけて収益をあげていくため、ニーズが長続きしなければ意味がなく、そこは慎重に進める必要があるわけですね。時に相当渋いタイトル(「週刊日本の神社」「週刊ランボルギーニカウンタック LP500S」)があるのも納得です。  しかも、商品化から全国販売の間にはもう一つ「地域先行販売」での収益の検証という段階が挟まります。ここで販売不振だと途中で打ち切られ、全国販売されずお蔵入りということになります。ちなみにテスト販売は静岡、宮城、新潟、広島等で行われることが多いようです。  逆に、ここから先、全国販売となった後はほぼ全てのタイトルが完結、売れ行きによっては延長になるタイトルもあるわけですが、上記の基本的な進め方以外にも、各タイトルごとの細かい工夫、例えば「ロビ」では8号までに上半身が完成するような流れにして、読者が思い入れを抱きやすくするといった施策が取られています。タイトル自体はアナログなものを扱っていることも多い、デアゴスティーニですが、その裏側では非常にデジタルなロジックが走っているわけですね。
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Price(価格)アンカリング効果とコンコルド効果を呼ぶ
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