百貨店跡「3度目の再生」に揺れる地方都市――巨大商業ビル「リムふくやま」は「平成の商業史」の縮図だった

2度目の再生は「郊外型テナント」主体

 2度目の再生は比較的早かった。福山ロッツの閉店後、運営を引き継いだのは大和ハウスグループの「大和情報サービス」。福山ロッツが閉店した4月中(9月までは改装しながら営業)に、複合商業ビル「リム福山」(エフピコがネーミングライツを取得し「エフピコRiMふくやま」)として営業を再開することとなった。
リム福山のエントランス

リム福山のエントランス。
大理石の柱と金色の天井はそごう時代から変わらない。

 半分ほどのテナントはロッツ時代から営業を継続したものの、地階は家電量販店・ディスカウントストア「ミスターマックス」の生鮮導入(総合スーパー)業態となり、そのほか「くまざわ書店」、100円ショップ「セリア」、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」、家具「ナフコ」などが新たに出店。さらに公共施設がかなり増え、福山市男女共同参画センター、少年サポートセンターふくやま、子育て応援センター、ひろしましごと館福山サテライト、ものづくり交流館などが設けられた(一部はロッツ時代から入居)。
リム福山時代の吹き抜け

リム福山となり、吹き抜けから見える店舗はディスカウントストア(地階)と人材派遣会社(1階)へと変わった。

 しかし、ロードサイドの郊外型ショッピングセンターを得意とする大和ハウスグループの運営となったことにより、ロッツに比べるとロードサイド店で良く見かけるテナントが増えたことは「見劣り感」を生んだうえ、郊外店との直接競争にも繋がった。リム福山は開店直後からナフコ、コムサ、any SiS(オンワード)など有力・大型テナントの閉店が相次ぎ、そうして生まれた空き区画を福山市が次々と「公共施設化」していったこともあり、商業施設としての魅力はさらに低下。売場は「歯抜け状態」となってしまった。
公共施設がテナントに

1階の好立地にも公共施設が。
末期には商業・公共施設がミックス状態となったフロアが多く、せめて高層階のテナントを移転するなどしてそれぞれを集約すれば印象は変わっていたであろう。

老朽化との戦いにも敗北

 また、ここに来て「豪華な内装」も大きな問題となって降りかかってきた。先述したとおり、福山そごうは旧そごうのなかでも特に豪華な店舗で、エレベーターやエスカレーターも一般的な百貨店より多く設置されていた。ファッションビルとして再生された際に一部を停止する措置などが取られていたとはいえ、開業から30年近くが経ち、老朽化が目立つ状態となっていた。また、空調や照明も多くは旧そごうを引き継いだものであり、最新の商業施設よりもランニングコストが大幅に高くなっていたと思われる。末期には空調効率を上げるために空き区画を壁で封鎖するなど、様々な努力がおこなわれた。
重荷となった豪華な内装

「豪華な内装」であったことも重荷となった。
シャンデリアが印象的な8階にはかつて人工河川が流れていた。

ここにも公共施設

4連エスカレーターの奥にあるのは公共施設「福山ものづくりギャラリー」。

 結局、大和情報サービスは2020年8月30日を以てリム福山を閉店することで福山市と合意。この夏、旧そごうは「3度目の閉店」を迎えることになる。
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3度目の正直!? しかし地元からは不満の声も
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