百貨店跡「3度目の再生」に揺れる地方都市――巨大商業ビル「リムふくやま」は「平成の商業史」の縮図だった

3度目の再生は「個人商店中心」に?――地元からは不満の声も

 さて、この豪華な建物の3度目となる「再生」は実現するのだろうか。  建物を所有する福山市は、都市再生コンサルタントなどとともに旧そごうの再生案を検討。「全体改修」(65億円)、「一部閉鎖して改修」(40億円以下)、「減築」(40億円)(ここまで商業施設+公共施設などとして活用する計画)、「解体・土地売却」(30億円)など様々な案を提示。そのなかで福山市が選んだのは「大部分を閉鎖して一部を活用」することだった。一部のみの活用ならば、老朽化したエスカレーターやエレベーターの稼働も一部のみで済むうえ、空調や照明の交換も最低限で済むと判断したのであろう。  福山市は、3億円弱をかけて旧そごうの1階(延床6,800㎡)だけを改装・活用する再生案を発表。7月から再生に向けたサウンディング調査を開始しており、その後に新たな事業者を募集、2021年に事業希望者による「プレゼンテーション会」をおこなったうえ、新事業者を決定したのち駐車場を含めて一括賃貸、2022年4月の開業を目指すとしている。  一方で、福山市と都市再生コンサルタントが「再生の一例」として提示している案は、個人商店を中心とした「小規模な飲食店」や「チャレンジショップ」等を入居させるというものだ。
福山市が掲げる「個人商店」を主体とした再生案

福山市が掲げる「個人商店」を主体とした再生案の一例。(福山市)
エスカレーターは撤去されるのだろうか。

 現在、リム福山周辺には多くのマンションや住宅がある。そごう出店時、周辺にはダイエー、ニチイ、イズミなど多くのスーパーがあったがいずれも撤退しており、現在リム福山周辺の最寄りスーパーは約500メートル東(駅寄り)にある繊維ビル跡の再開発ビル「アイネスふくやま」内のミニスーパー「フレスタおかず工房」であるなど、中心市街地にはスーパーが少ない状態だ。そのため、リム福山に出店している大型スーパーや100円ショップ、書店などは比較的利用客が多く、中心市街地の住民にとって無くてはならない存在となっていた。  それゆえに福山市が掲げる「小規模な個人商店中心」の再活用案を残念に思う市民も少なくないとみられ、「プレゼンテーションなどにより選ばれた個性的な店舗」よりも、「一部のみ活用でもいいから普通のスーパーや100均を出店させたほうがいいのでは」という声も上がっている。
ミスターマックス

リム福山の核店舗だったディスカウント総合スーパー「ミスターマックス」。
ミスターマックスは福岡の家電量販店を起源とするディスカウント店で、福山店は「元デパ地下」への出店ということもあり生鮮品も充実していた。
店内は明るい雰囲気で、家電や雑貨などの品揃えもあるため買い物客は多かった。

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小規模個人店を集めた商業ビルは地方都市で成立するのか?
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