結果として、
第25回参議院通常選挙では、自民党は、秋田選挙区で議席を失いました。当時現職議員であった
中泉松司氏 は、
地盤・看板・鞄の三拍子そろった典型的な自民党の世襲現職議員でしたが、秋田県庁が勤務時間中に県庁敷地内で佐竹敬久(さたけ のりひさ)秋田県知事主導のもと支持集会を開く*など憲法上もコンプライアンス上もきわめて問題の大きな運動が展開**されたにもかかわらず、無所属新人の寺田静氏に二万票差で敗北しました***。
<*
県庁で勤務中職員が必勝コール 知事「悪いという法律ない」2019/07/11 秋田魁新報>
<**:ほかにも佐竹敬久秋田県知事は、7月6日に大仙市で中山陣営の選挙カーに乗り込むなど、中立が求められる特別職の地方公務員として問題とおもわれる行動が指摘されている。
”
(幹事社): 関連で、土曜日、大仙市で中泉さんの選挙カーに乗られたということだと思うんですけれども、知事ご自身が過去の国政選挙で、そこまで1人の候補を応援したということはあったのしょうか。
(知 事): 前回の衆議院議員選挙は、金田さんと富樫さんに2日か3日ずつ乗ったんです。今回、たまたま土曜日空いてましたので。これからは、時間的に公務が入っていますので、ほとんど無理かなと思います。”|
令和元年7月8日知事記者会見 | 美の国あきたネット>
<***:
秋田 選挙区 | 参院選 2019 | NHK選挙WEB>
7/24投開票の結果、秋田市だけでなく郡部も含め大多数の開票所で寺田氏は獲得票数一位となり、二万票の差で堂々当選、秋田県民の民意は、「イージス・アショア秋田市配備を拒否」と明確に示されました。なにしろ寺田静氏の政見公約には、イージス・アショアについて、「大前提として住宅地、学校などの目の前にミサイル基地の新設を許すことはできません。」と明記されています*。
<*:
第25回参議院通常選挙秋田選挙区選挙公報>
第25回参議院通常選挙秋田選挙区選挙公報より
当選後寺田静氏は、秋田市への陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画について「阻止に向けて全力を注いでいく」と述べました*。
<*:
イージス配備「阻止に向け全力を注ぐ」 秋田の寺田静氏 – 2019参議院選挙(参院選) 2019/07/22 朝日新聞>
本来民意を直接反映する役割は、衆議院が担いますが、イージス・アショア秋田市配備が表面化した直近の選挙が第25回参議院通常選挙ですので、有権者の民意がこの選挙に直接反映されたと言えます。
秋田では、イージス・アショア拒否で結論、一方で配備強行を目論む安倍自公政権
第25回参議院通常選挙でイージス・アショア秋田配備拒否とい言う秋田県民の民意は明確に示され、すでに自民党秋田県選出衆院議員の冨樫博之氏は、白旗を揚げています*。
<*:
秋田市に陸上イージス「もうダメ」 地元自民議員が反対2019/08/24 朝日新聞>
その一方で、
安倍官邸、安倍自公政権、防衛省は、何が何でもイージス・アショアの秋田市への配備を強行しようと既成事実化を図っています。
これは当たり前のことで、安倍社交の中でも最重要の対米社交において、少なくとも一兆円を合衆国軍需産業に貢ぎ、合衆国に一千億円の節約をさせ、ハワイを防衛し、合衆国西海岸から中西部防衛専用の監視哨として秋田市そのものをピケット艦として貢ぐことは、
安倍晋三氏の私的保身のための最重要事項です。
防衛省、安倍自公政権は、沖縄で見せた常套手段によって秋田県民を慰撫し恭順させようとし始めています*。まさに植民地支配の基本的手法そのものです。
<*:
防衛相「信頼回復に全力」 地上イージス世論調査受け会見2019/07/30 秋田魁新報”、
地上イージス再調査 28日に県へ内容説明、防衛省2019/08/27秋田魁新報電子版、
イージス・アショア、米政府と2基分の本体契約 1399億円2019/04/26 産経新聞>
この手口は、
沖縄で行っていることと全く同じで、彼らの言う
「丁寧な説明」とは、同じ事を相手が飽きるほど何度も繰り返すだけのことです。これをParrotful Speaking(オウム語り)と言い、中身は全くありません。
防衛省は、
前回指摘した「家畜人ヤプー」として安倍氏と合衆国の利益のためだけに行動しているのが実態です。そのためにはあらゆる詭弁と嘘を駆使します。それが
前回指摘し検証した「合衆国の「ジャケットマン」(人間防弾チョッキ)としての日本配備イージス・アショア」の実態であり、防衛省の行動原理です。高級官僚がこれでは、やる気も出ますまい。
この防衛省、安倍自公政権の尻馬に乗った「家畜人ヤプーしたっぱ」によって、秋田県ホームページに「非国民」という抗議が押し寄せたことはすでに報じられています*。
<*
「イージス引き受けないのは非国民との批判、県内外から」秋田の佐竹知事が明らかに 2019/06/24 毎日新聞
“佐竹知事や県によると、県のホームページなどを介し「非国民だ」という内容などの批判が寄せられているといい、知事は「(陸上イージスを引き受けず)『秋田には原発もなく、日本の何の役に立っているのか』『知事辞めろ』といっぱい来ている」などと嘆いた。”記事抜粋>
そもそも第一に
自治体と国の間に上下関係はなく対等であることが地方自治の大原則です。
第二に役立たずの大金喰らいと化した原子力発電所が秋田県にないことは慧眼ですし、そもそも
秋田県には過去から今に至るまで具体化した*原子力発電所立地計画はありません。
<*実は、秋田市、能代市、本荘市が誘致運動をしていたが、東北電力が採用しなかった。>
第三に、
徹底した先制核攻撃を誘致するだけで日本の弾道弾防衛には役に立たない合衆国防衛専用の秋田配備イージス・アショアを当事者が拒絶することの何処が「非国民」なのか理解に苦しみます。そもそも、「非国民」とは、頭空っぽのプロパガンダ屋が常用するオウム語りであることは先の敗戦で実証済です。
それにしても原子力発電所を外国防衛専用のミサイル基地(先制核攻撃の的)と同列に見做すとは、原子力工学、原子力産業共に酷く馬鹿にされたものです。私はそのことに強い憤りを持ちます。
本連載では今回と次回でイージス・アショアの秋田配備において見せた政府の醜態について論考し、その次にイージス・アショアそのものが日本においてはほぼ無効化されていることについて論考します。
『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』ミサイル防衛とイージス・アショア10