教団やそのフロンド組織との緊密ぶりを得意げに語り、隠そうともしない山本の発言を筆者は、ある種の驚きをもって聴いた。それは、自民党の国会議員がここまで踏み込んだ発言をしたことだ。党を代表して述べたとも取れる山本の発言は、統一教会と自民党の関係性を「創価学会―公明党」のように同教団を支持母体として今後は自民党が公けに認めるのでないかと思わせるものだったからだ。
両国会議員に質問書を送ったところ、宮島の政策秘書からは「大変申し訳ないが鈴木エイト様の質問とかいろんなことは今回から全てお断りしようという形になりました。その理由も含めて取材拒否という形を取らせていただきたい」と返答があった。山本からは何ら回答がなかったため、山本の国会事務所に電話したところ、政策秘書は質問書を受け取った山本が内容を読んで「
答える必要がない」「
特に回答する必要性はない」と発言していたと明かした。
両議員の逃げの姿勢は、支持母体と政党の関係として「統一教会―自民党」という図式を認めるどころか、これまでと同様に同教団との関係が発覚した途端に「
知らぬ存ぜぬを決め込む」というものだった。いくら裏では緊密な関係を築き上げても、当の政治家からは表立っての関わりを否定されるというのが教団の置かれている立場を表している。
また、この集会には
宮川典子衆議院議員(自民党)と
亀井静香衆議院議員(当時・無所属)も祝電を贈っていた。宮川の秘書は祝電を贈った経緯について「会員からの依頼によりお送りしました」と回答、13年に宮川のインタビュー記事が世界日報に掲載されたことについても認めたものの、教団との関係や選挙支援については否定し「教団に便宜を図る関係にはない」と答えた。しかし、宮川に関してはその後も統一教会のイベントに出席していたことをメディア関係者に目撃されている。
有明大会の夜、京王プラザホテルで開かれた『
真の父母様御来日歓迎及び東京1万名大会祝勝会』に
自民党の参議院議員・
北村経夫と
中川雅治が出席、来賓として祝辞を述べた。北村は2013年の参院選全国比例区において統一教会の組織票8万表の上積みで当選した議員だが、この時まで約4年間全く当選の見返りとなる“恩返し”を行っていなかった。そのため同教団と勝共連合の幹部からは「誰のおかげで国会議員になれたと思っているんだ」と不満の声が上がっていたが、ようやく義理を果たしたことになる。“恩知らず”を改めた北村は今夏の参院選への危機感から再び教団との距離を縮めていく。
中川と教団の関係については後述する。
2世信者の歓迎を受け来賓祝辞を述べる北村と中川(教団内部資料より)
有明大会の翌日、筆者は統一教会と自民党の関係について「潮目が変わる可能性がある」とツイートした。すると前述の報告会で宋龍天・全国祝福家庭総連合会総会長が筆者の当該ツイートを大型モニターに示し「今まで、日本で最も強力に家庭連合(統一教会)に反対してきたインターネット新聞を出している言論人が、今回PeaceTVで生中継された大会を観ながらツイッターを通して中継していました。ところが、それほどまでに反対していたその言論人が変化しました。ツイッターで、創価学会と公明党の関係のように、今後、家庭連合の影響力が大きくなると分析をしたのです」と韓鶴子に報告を行った。
筆者のツイートを報告する宋総会長(PeaceTVより)
また宋総会長は、徳野会長に促された山本朋広が韓鶴子に特大のカーネーションを贈呈している画像を示した他「大会に参加したマスコミの反応」として、集会を取材した朝日新聞とフジテレビの記者の発言として以下の内容を紹介した。
朝日新聞「青年から老人まで、老若男女を問わず多くの人達が並んで参加していることにとても驚きました。一昨年の幕張出帆式でも似たような光景を目にしましたが、今回はそれを凌駕する大盛況であり、壇上に立たれた韓総裁のカリスマ性を肌で感じました」
フジテレビ「完全な満席で成された長大な大会だったので本当にびっくりしました。韓総裁を通して家庭連合にもっと深く関心が湧きました」
朝日新聞とフジテレビについての虚偽の報告も(PeaceTVより)
しかし、両メディアに確認したところ、そのような発言は一切していないことが判った。この件について筆者の取材に教団サイドは「事実と異なる内容が誤って宋総会長に伝わってしまった」と釈明している。