統計の信頼性回復のためには、政府と与党はまず「不都合な事実」に向き合え
(2) 毎月勤労統計の手法の変更関係:時系列
● 2014年10月3日:衆議院予算委員会、前原誠司議員
「アベノミクスがうまくいっているというのは本当か」
「名目賃金は上がっておりますけれども、実質賃金それから実質可処分所得はずっと減少しているんですよ。」
「消費税の影響じゃないですよ。その前から、実質賃金、実質可処分所得は減っているんです。」
● 2014年11月18日 消費税先送り
「本日、私は、消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。」
「ここで皆様に申し上げておきたいことは、3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています。」
● 2014年11月21日 衆議院解散
● 2014年12月14日:衆議院議員選挙。自民党が追加公認を含めて291議席。公明党と合わせて全議席の3分の2を上回る。
● 2015年3月31日:厚生労働省の姉崎統計情報部長らが毎月勤労統計の2015年1月分確報について事前報告。中江首相秘書官が「問題意識」を姉崎統計情報部長らに伝える。
● 2015年3月31日:同日に公表予定だった毎月勤労統計の2015年1月分の確報の公表の延期が発表される
● 2015年4月3日:1月分の毎月勤労統計の確報公表
サンプル入れ替えに伴う遡及改訂により、2014年10月の名目賃金は0.2から-0.1に、11月の名目賃金も0.1から-0.2に、変更され、プラスからマイナスに転じる
● 2015年6月3日:厚生労働省「第1回 毎月勤労統計の改善に関する検討会」
姉崎統計情報部長:
「皆様方も御承知のように、アベノミクスの成果ということで、賃金の動きが注目されておりまして、この研究会のテーマでございます「毎月勤労統計調査」でとっている賃金、特に実質賃金の動きが世の中的に大変大きな注目を浴びております。昨日、4月の速報を発表させていただいて、プラス0.1ですけれども、24カ月ぶりにプラスになったということでしたので、昨日の夕刊、今日の朝刊も、こんなにいっぱい記事が出たのは何十年ぶりではないかというぐらい久しぶりに大きな記事になっておりまして、世の中的な関心が大変大きくなっているところです。
この「毎月勤労統計調査」は、先生方は御承知かと思いますが、2年又は3年置きに調査対象事業所の入れ替え、サンプルの入れ替えをするとなっておりまして、今年の1月に3年ぶりにサンプルの入れ替えを行いました。サンプルを入れ替えますと、旧サンプルと新サンプルの間でズレが生じますので、そこのところを調整するために、後ほど詳しく説明いたしますけれども、指数等を過去に遡って改訂するということをします。賃金の動きが、今月上がった、下がった、どのぐらい上がったと注目されている中で、いきなり過去の3年間に遡って変わってしまったために、一部では、人騒がせな統計だとか、サプライズだとか、毎月勤労統計ショックだとか、いろいろな言葉で大変騒がれたというか、いろいろな御意見を各方面からいただくようなことになりました。
こうしたことも踏まえまして、今般、この「毎月勤労統計調査」に係るいろいろな課題について検討しようということで本検討会を開催することにした次第です。」
● 2015年8月7日:厚生労働省「第5回 毎月勤労統計の改善に関する検討会」
阿部座長:「最後「Ⅲまとめ」ですが、ここで「(2)サンプルの入れ替え方法」は、先ほど出てきましたが、当面は現在の総入れ替え方式で行うことが適当としてまとめております。」
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