まず、2030年代の開通を目指す「新路線」の代表格が「なにわ筋線」だ。
なにわ筋線は旧・梅田貨物駅に設けられる北梅田駅から難波方面に至る路線で、総延長は約7.4km。それ以北は、北梅田駅からJRおおさか東線(東海道線支線・貨物線を地下化)、と阪急なにわ筋連絡線(仮称、新線)へ、それ以南は新今宮駅から南海本線、JRなんば駅からJR関西本線(大和路線)への乗り入れが行われる。南海新今宮駅との接続部以外は全線地下路線となる。
なお、「なにわ筋」とは戦後造られた大阪市中心部を南北に貫く道路で、なにわ筋線は路線の大部分がこのなにわ筋の地下を通ることから命名された。
「なにわ筋線」と、それに接続される計画の「おおさか東線」「なにわ筋連絡線(仮)」「新大阪連絡線(仮)」路線図
運営方式は第三セクター企業が建設・保有する上下分離方式が想定されており、これはJR西日本が大阪市中心部で運行する地下路線「JR東西線」、京阪電鉄が大阪市中心部で運行する地下路線「中之島線」と同じ営業形態。整備主体はJR東西線を保有する第三セクター企業の関西高速鉄道株式会社が予定される。
開通後は、南海電鉄、JR西日本、そして阪急電鉄の3社が乗り入れる計画。当初は南海とJR西日本の2社による相互直通運転が想定されていたが、後述する「阪急なにわ筋連絡線(仮称)」計画により、阪急電鉄も計画へと加わった。
関西高速鉄道株式会社本社。JR東西線の大阪天満宮駅ビルに入居している
途中の新設駅は中之島駅、西本町駅、南海新難波駅(いずれも仮称)の3駅。
中之島駅は、京阪中之島駅の東側に設けられ、現在は接続路線がない同駅との乗り換え駅となる。
ここから先の2駅は接続路線を持たない完全な「新設駅」となる。
西本町駅は阿波座一丁目交差点附近に新設され、今のところは単独駅となる計画だが、夢洲への足ともなる地下鉄本町駅まで歩いて5分ほどで、開通時には地下で接続される可能性もあろう。
また、南海新難波駅は現在の南海難波駅(愛称:なんば駅)の地下ではなく、どちらかといえば阪神・近鉄大阪難波駅の近くに設けられることになる。現在の予定地上はお世辞にも「なんばの駅前」とは言えない雰囲気であるが、将来はどう変化するであろうか。
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西本町駅の予定地附近。なにわ筋沿いにはオフィス街が広がる
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新難波駅の予定地附近。奥には南海なんば駅が見える。現在は「なんばの外れ」という印象だ
なにわ筋線建設の総事業費は約3300億円。2019年中に着工、全線の開通は2031年を目指している。なお、北梅田駅自体は先行して2023年にJRおおさか東線の駅として開業する予定だ。
開通後は大阪市中心部のキタ・ミナミを結ぶ新路線として、そして既存の大阪メトロ御堂筋線などの混雑緩和にも寄与するものとして1日約20万人の利用が見込まれており、開通直後から「混雑路線」となることが予想される。