国民無視、財界からのニーズだけで進める「入管法改正案の衆院通過は拙速」。野党各党党首に聞く
今、国会は移民大量受け入れにつながりかねない「出入国管理法(入管法)改正問題」が焦点になっている。これは欧州・米国の移民の状況を見ても分かるように、国家的一大事な問題だ。その改正案を、与党は11月27日に衆議院で通過させ、十分な審議もないままに今臨時国会で通そうとしている。
社民党の又市征治党首は11月6日の記者会見で、外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案について「これはいったい法律なのかと言いたいぐらいで、中身は何もよく分からない」と述べた。
受け入れ業種や人数、(特定技能「1号」と「2号」の違いを含め)求められる技能の水準などが全く不明だとして「法律ができたら(制定されたら)後は省令で決めたいという話。全く逆さまだ」と批判。「人手不足だからなし崩し的に入れればいいという程度の発想でやっていたら、将来に大変な禍根を残す」とし、拙速な審議は絶対にやってはいけないと主張した。
また、玉木雄一郎・国民民主党代表は11月14日、定例会見で次のように入管法改正案を批判した。
「これまで法務委員会の現場で、きのうの代表質問でもあったが、今回の新しい在留資格を導入することによって受け入れ見込みの外国人の数がどうなるのかと、その数字を出してほしいということをずっと求めてきた。本日それが提出されたが、非常に不十分な内容だ。
14業種について、それぞれ受け入れ見込み数、初年度のもの、5年までの累計ということと、人材不足の見込み数がこのように出た。ただ、一体この根拠は何なのかということについては一切示されていないので、信頼できるものかどうかもわからない。
法務省に至っては『こういうものを、各省から報告を受けています』ということだけで、実は合計額についても下の欄に注書きで、足したらそれが初年度3万2800人から4万7550人、5年目までの累計で26万2700人から34万5150人ということを書いているが、全くこれでは不十分だ。
加えて、これも代表質問などで要求していた、技能実習生(に関する資料)。『現在の技能実習生の5割、6割が、この新しく設けられる特定技能1号に移行していく』ということを言っているようだ。であれば、現在の技能実習生の状態がどうなっているのかということを正確に知る必要がある。
これも今、失踪した技能実習生がたくさんいるということで、この個票、聴取表というのをつくって、これにはどういう賃金だったのかとかいろいろなことが書かれているわけだ。もちろんプライバシーのところは隠していいから、これを全部出してくれということを求めてきたが、こういうものは一切出さないということだ。
(野党側が)求めていた、つまり中身のある議論が行える環境が依然として整っていないということであるので、我々としては引き続き充実した審議に必要な資料を求めていきたい。『今のままでは不十分、これでは十分な審議ができない』ということをまず申し上げたい」
技能実習生で失踪した者からの聴取票を、与党は野党に開示した。しかし、複写も撮影も禁じられたため、野党議員が手分けして書き写したのだ。
将来に禍根を残す!? 移民受け入れ見込み数に根拠なし
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