エルドアン大統領の独裁色が強まる限りテロは終わらない
エルドアン大統領が今後も独裁色を強める限り、クルドとイスラム国からのテロ活動は衰えることはない。むしろ、トルコ市民の犠牲者が増えることになる可能性が強い。そして、外交面でも現在までロシアと米国から見放されていたエルドアン大統領である。EUへの加盟はほぼ見込みはない。EU加盟に必要な言論の自由がトルコ国内には存在しないからである。ロシアとは関係修復への道が開けたが、今後シリア問題で米国とロシアが協力して行く中で、エルドアン大統領はどのような外交を展開するのか。
現在のエルドアン大統領のクルド問題解決に新しい和平策を展開させて行かない限り、トルコとクルドのトルコ国内における分裂は激しくなる。国家が二分する方向に歩む可能性は充分にある。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。