未遂に終わったトルコのクーデター。「ヤラセ」疑惑も飛び出す

クルド民族問題とISとの戦いで増える自爆テロ

 トルコの人口は7500万人だ。そのうち20%がクルド民族である。クルド人はトルコ、シリア、イラク、イランに跨がる広域に住んでいるおよそ2000-3000万人の民族で、独自の国家をもたない最大の民族集団である。その内の最大規模の1500万人がトルコに住んでいる。彼らはトルコからの独立を常に望んでいる。その為に、これまでトルコ政府と平和裏での共存の為の交渉を展開していた。そのリーダー的なグループがクルド労働者党(PKK)である。  クルド労働者党の独立運動が活動を始めたのは1984年からで、トルコ軍との戦いや、彼らによるトルコ国内でテロ活動で、これまで4万人がその犠牲者になっているという。勿論、その大半の犠牲者はクルド労働者党の戦闘員であった。  2年前にトルコ政府とクルド労働者党との和平交渉は決裂しており、それ以後トルコ政府は彼らの本拠地への空爆など攻撃を強めている。その反動で、クルド労働者党によるトルコ国内でのテロ活動も活発になっている。  また、PKKよりさらに過激な武装組織「クルド解放のタカ(TAK)も台頭しており、予断を許さない状況が続いている。  それと併行してイスラム国との戦いもトルコ政府の負担になっている。当初、トルコ政府はシリアのアサド政権の打倒に彼らの力を頼った。しかし、シリア紛争に絡むイスラム国とクルド武装勢力の戦いがトルコ人にも飛び火してトルコ人の間で犠牲者が出たこととからトルコ政府はイスラム国も敵と看做すようになった。またロシアと米国の間で数日前まで続いていた交渉内容から、双方がアサド政権を存続させ、今後協力して反アサド武装勢力を打倒するということが決定した。その内容に沿うような形でトルコはイスラム国の打倒を目指すことに方向転換した。これらの決定が影響して、イスラム国は敵となったトルコの国内でのテロ活動を活発化させた。6月28日に起きたイスタンブールの空港での自爆テロ事件もイスラム国が関与した。  クルド労働者党とイスラム国によるトルコ国内での頻繁なテロ活動の結果から、今年に入って既に外人旅行者を含め一般市民200人以上が犠牲者となっている。
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テロの影響で冷え込む観光業
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