ソニーはなぜ「レコードプレイヤー」の新製品を発売したのか?

鍵は「ハイレゾ音質」による録音

PCにUSB接続してハイレゾ録音できるPS-HX500

「アナログレコードの高品位な再生はもちろんのこと、世界初(2016年3月16日広報発表時点)、Direct Stream Digital(DSD)によるハイレゾ・ファイルフォーマットでのPCへの録音・保存が可能です」  そう話してくれたのは、ソニーマーケティング広報グループ・細田良子氏だ。DSDとは、ソニーが開発した、原音に極めて近い録音が可能なデジタル記録技術である。 「DSDをはじめとしたハイレゾ・フォーマットで録音するには、専用のアプリケーションをインストールしたお手持ちのPCとプレイヤーを接続するだけ。通常、アナログレコードの音は、外部からの振動の影響を受けてしまいます。スピーカーから出る音の振動も悪影響になってしまうのです。しかし『PS-HX500』なら、PCとプレイヤーを接続するだけなので、スピーカーから音を出す必要がありません。つまり、レコード本来の音を損なうことなく録音することが可能です。これで昔のアナログレコードの音源もハイレゾ再生対応のウォークマンやハードディスクオーディオプレイヤーなどでお楽しみいただけます」(細田氏)  音質と利便性を両立させることで、デジタル時代の消費者のニーズにも訴求。過去にほとんど廃れたといっても過言ではないアナログレコードに、ただ回帰するのではなく、デジタル音源として持ち歩けるといった現代的な進化を遂げているのだという。  しかし、いくらアナログ再評価の機運があるといっても、いままでレコードに触れる機会のなかった若い世代が急にアナログレコードに手を付けるとは考えにくい。プレイヤーをはじめとした周辺機器のみならず、そもそもアナログレコード自体を持っていない人からすると、「興味はあるけど一歩踏み出せない」というのが本音だろう。
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安価なモデルと共存し市場拡大を目指す
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