中学武道必修化で税金2500億円!――文科省の計画のカラクリを追う

建設業界紙と無駄ゼロ会議議事録で武道場1棟4500万円と判明

 これを裏付ける証拠はないかと探したところ2つ見つかりました。  1つ目は文科省が地方公共団体及び建設業界に向けて提示した武道場整備費1棟当たりの発注条件で、柔剣道場(柔道場と剣道場を併設した武道場)は450㎡までの面積に平米単価99,400円(毎年建設費指数により変動)を掛け合わせた金額とする旨が示されています(建設通信新聞 2009年1月19日付)。これにより柔剣道場1棟の整備費は「450㎡×99,400円」ということになり、約4500万円であることが分かります。(※注)  2つ目は2008年9月に内閣官房長官が招集した行政支出総点検会議(通称:無駄ゼロ会議)の議事録です。文科省は2012年度から始まる中学校武道必修授業を安全かつ円滑に進めるために2009年度から2013年度の制度移行期間の「緊急5か年」で、2008年度時点の公立中学校の武道場整備率47%を70%まで「+23%」引き上げることを目指すと発表しました。2008年度時点の全国の公立中学校は10150校ですので、その23%といえば2300校強です。この無駄ゼロ会議の議事録では「緊急5か年」の文科省負担分の武道場整備費を520億円と記載しています。  4500万円の武道場を2300校余り建設すると1040億円となりますが、文科省の補助する武道場整備費はその半額となりますので520億円となり、議事録と金額がピタリと符合します。この会議には財務省から文科省担当主計官や予算執行調査室長も出席しており、「緊急5か年」の目標達成時の武道場整備費は国520億円、地方520億円の総額1040億円であることが「公」に明示されたわけです。  ここまでの検証で、武道場1棟当たりの整備費は4500万円であることがほぼ裏付けられました。
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柔道場なら2500万円、剣道場なら3000万円で建てられるが…
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