サウジの政府系ファンドがUberに35億ドル出資! なぜサウジ?

Uberの課題とサウジでの事業展開

 世界70か国・地域で事業を展開するUberの課題として挙がっているのが、一般ドライバーによる運送が乗客の安全を脅かすことや、既存事業者の経営を脅かすことである。Uber登録ドライバーが客を誘拐してレイプする事件も発生している。また、業界団体を中心に既存事業者の経営を脅かすとの批判が出ている。  サウジアラビアでは、長期間にわたって国から許可を得て営業してきた認可リムジン会社だけを通じて、Uberは提供されているということなので、運送は一般ドライバーが行っておらず、安全が確保され、また、既存事業者の経営を脅かすことにも該当しない。サウジアラビアでのUberの役割は、いまのところ、既存事業者とのアライアンスによる自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリの提供だけと考えていいだろう。  女性の社会進出とともに、利用者を伸ばしているサウジアラビアのUber。しかし、もっともっと女性の人権が拡大し、「運転禁止」という世界でも例を見ない悪法が改善されたとしたら、配車サービスへの需要見通しに一部修正が必要になるだろう。  巨額投資の判断をしたPIFだが、そのときはいったいどうなるのだろう??<文/丹羽唯一朗>
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