PIFによるウーバーへの投資であるが、なぜサウジアラビアがUberに目をつけ投資するのであろうか? 上記のサウジアラビア政府による石油依存経済からの脱却とは別の観点で、需要に着目してみよう。
ご存知の方も多いかもしれないが、サウジアラビアは世界で唯一、女性が運転することが禁止されている国である。そのため、サウジアラビアのUber利用者13万人以上とも言われる中、約8割が女性なのである。(参照:「
CNN Money」 )
サウジアラビアでは、女性が労働するには夫や父親の許可が必要であり、就業機会も非常に限定されてきた。サウジアラビアの厳格な男女隔離の法規、社会通念、宗教界の抵抗が女性の社会進出を遅らせてきたのだ。
しかしながら、その一方でサウジアラビアの女性の大学進学率は世界でも最も高い国のひとつとなっている。したがって、サウジアラビアの女性は、教育水準が高いが、社会進出をする機会が少なかったのである。
ただ、そうした事情も次第に変わりつつある。
2012年1月には、サウジアラビアで禁止されていた女性の接客業への就業について、女性用の下着や服の販売についてはこれを認める法律が施行されたように、また、2013年1月に国政の助言機関である諮問評議会(国王が任命、150人)に約30人の女性が初めて議員として任命されたように、徐々にではあるが、女性の社会進出がサウジアラビアでは進んでいる。
こうした動きから、女性の日常生活だけでなく、社会進出をサポートする配車サービスへの需要は今後大きいと思われる。