前出の記事『The end of rush hour』によると、ゴールドマンサックスは、ジュニアバンカーに土曜休暇の取得を奨励している。フォルクスワーゲンやプーマなどは、就業時間外にはEメールのサーバーをシャットダウンしてしまう徹底ぶり。さらにダイムラーは、休暇中の社員がメールを受け取らずに済むシステムを構築している。しかも、それらの未読メッセージは全て削除されるのだという。そうしなければ、“完全な休暇”にならないからだ。
弓矢を飛ばすためには、逆の方向へ引っ張らなければならない。逆の力が強ければ強いほど、弓矢はより遠くへ飛ぶだろう。就業時に最大限の力を発揮させたいのであれば、それと同じだけの休暇が必要なのが物の道理というものだろう。
しかし、現代の生活では、余暇でさえも人々をすり減らす誘惑で溢れている。一見サボって遊んでいるようでも、“実は労働の裏返しに過ぎなかった”なんてことは少なくない。書き割りのアミューズメントで悪酔いしたところで、頭と心が癒されるわけではない。むしろ、根本的な回復は先延ばしにされてしまうのだ。