ダイアログ・イン・ザ・ダーク「暗闇の研修」を体験してみた!

 各メンバーは「白杖(はくじょう)」という視覚障がい者が使用する杖を選んで使い方の説明を受け、照度ゼロの空間へと導かれる。そこは自分の身体さえ視認できない、何も見えない真っ暗闇。  当然ながら空間把握がまったくできなくなる。自分がどれくらいの部屋にいるのか? ほかのメンバーとの位置関係は? さっぱりわからない。一方で声の方向や大きさでなんとなくの距離感を感じられることにも気づかされる。  その後、暗闇を手探りで隣りの部屋へと進むのだが、これだけでもひと苦労。なにしろ、お互いの位置関係も、進むべき方向もわからない。必然的に互いに声を掛け合い、暗闇を手さぐりでほかのメンバーを見つけることになる。「あれっ?」とか「いたっ」などというつぶやきがそこかしこで聞かれる。まさに暗中模索。まさに非日常。しかし視覚を遮断すると、草の香り(真っ暗なので正確にはわからないが、笹の葉であった気がする)や虫の鳴き声などに敏感になり、わずかな距離を移動するだけでもさまざまな発見がある。  電車ごっこのように連なって進むなか、先頭のミッキーさん(♀)が「ここ、段差あります」と後ろのカズさん(♂)に教える。カズさんが段差に到達すると、「段差あった」とさらに後ろのスズエリさん(♀)に伝える。伝言ゲームのようにして、そろそろと足を出しつつ進んでいく。  他愛もないやりとりだが、暗闇でスムーズに移動するためには必要な声掛けだ。
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チームのメンバーと共同作業をして課題解決に挑む
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