中国において紙幣識別機を個人利用するニーズが高いのは、前出で触れたように一向に減らない偽札という現実に関連している。中国の偽札は透かしがあるなど巧妙に作られており、同じ通し番号で大量に刷られている。
銀行から受け取った状態のまま現金を渡すと信用度が高い
中には銀行のATMから偽札が出たという話が中国のインターネット上で目にすることもあり銀行ですら偽札流通防止の機能を果たしていないのかもしれない(各銀行の公式見解では、銀行の窓口やATMから偽札が出ることは絶対に有り得ないと否定しているが…)。
一般の中国人が識別機に頼らず偽札を見極めるポイントは、透かしではなく、まずは、毛沢東の肖像画の襟元がザラザラしているかを確認する。本物は凹凸があり、偽札は凹凸感が少ない。次にブルーライトを当てて確認する。最後の手段で透かしを確認する順番で判断するのが一般的だ。そのため、あまり市場に出回っていないピン札100元ほど疑い、ツギハギだらけのボロボロな100元札ほど本物だと信用される傾向が強い。
この偽札か本物の判断は、現金商売で紙幣識別機が置けないようなタクシー運転手などが慣れており、瞬時に判断する。ちなみに偽札を銀行や公安へ持参しても回収されて終わるため、多くの中国人はそのまま使ってしまえと考えているようだ。