熊本県・大分県を襲った大地震――そのとき商店街は【熊本地震現地リポート】

カッパは健在です-眠りにつく商店街のシンボル

 熊本市中心部の上通商店街を通行する人々にとって、震災後気がかりであったことの1つが「カッパが無事かどうか」だった。  熊本市民なら誰もが知る、上通商店街の大型書店「金龍堂まるぶん」店頭に設置された泉とカッパ像。金龍堂のウェブサイトによれば、設置されたのは今から45年前の1970年で、長年に亘って熊本市民の誰もが知る待ち合わせ場所の1つとして、そして「水都」とも言われる熊本の中心商店街のシンボルとして親しまれてきた。  しかし、まるぶんの店舗は地震で大きく損壊。営業が出来ない状態となっており、カッパもシャッターの奥に閉ざされていたのだ。  商店街近くにある熊本城でさえ損壊してしまった大地震。商店街を通る多くの市民が、河童が無事かどうか気になっていた。そんななか、地震から1週間以上経ったある日「店のシンボル“カッパ像”は地震の揺れに耐え、いまも健在です。」との貼り紙が貼り出された。建物が損壊するような大きな揺れのなか、カッパは生き続けていたのだった。  商店街のシンボルとして長年親しまれたカッパは、書店が再開するその日まで、シャッターの奥で静かな眠りについている。
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震源に近い商店街には倒壊店舗や閉鎖街区も
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