死刑囚がつくったアート。その創作の源泉とは? ギャラリーオーナーに聞いた

限られた画材ゆえの表現

「まな板の上のフグ」(松田康敏・宮崎連続強盗殺人事件 2012年3月29日死刑執行)

――どの絵も色使いが独特ですが、それには「そもそも画材が限られている」という理由もあるんですね。  その通りです。絵を描くキャンバスになるものも、手紙を書くための便箋が多いんですが、画用紙だったり、和紙だったり様々です。これもみなさん工夫されていて、宮前一明さん(坂本堤弁護士一家殺害事件・オウム真理教元幹部)は、かなり大きいサイズの和紙を使っているんですが、これは拘置所の差入店では販売していません。そこで大きな和紙に「手紙」を書いて差し入れてもらい、鉛筆で書かれた文字を消しゴムで消して、絵を描いていたそうです。松田康敏さん(宮崎連続強盗殺人事件)もかなり大きな作品を描いていますが、あれは小さい紙の裏に番号が書いてあって外に送付。外部の支援者が順番通りに繋ぎ合わせると一枚の絵になるように描かれました。

「変わらぬ風景―リメーク版」(小林竜司・東大阪大生集団暴行殺人事件)

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如何に色眼鏡で見ているかがわかる
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