2020年に「宇宙ホテル」が実現? 空気で膨らむ宇宙ステーションが打ち上げへ

スペースXが開発中の宇宙船「ドラゴン2」。宇宙旅行のための「足」として、現時点で最も有力な宇宙船である Photo by SpaceX

誰でも行ける時代はまだ当分先

 しかし、一番気になるのは、滞在するのに一体いくら掛かるか、という点であろう。今回の発表では顧客が支払う費用については言及されなかったが、安くはないであろうことは想像できる。  たとえば、昨今話題のイーロン・マスク氏の宇宙企業スペースXは、現在「ドラゴン2」という宇宙船を開発している。スペースXは低コストなロケットの開発に挑んでいることで知られるが、この宇宙船も低コストを意識して造られており、宇宙旅行が実現した際に、乗客が乗ることになるであろう宇宙船のひとつと見られている。しかし、そのコストは1人あたり2000万ドル(現在のレートで約22億円)と見積もられている。  おそらく2020年から当面の間は、企業の社長や映画スター、スポーツ選手などの、ごく限られた大富豪だけしか行けないかもしれない。しかし、いったん宇宙旅行が始まれば、徐々にコストが下がり、いずれ数千万円ほどまで下がることはありうる。イーロン・マスク氏もさまざまなところで「われわれの宇宙船による宇宙飛行にかかる金額は、みんなが想像しているほど高くはならないだろう」と発言している。  もちろん、数億円、あるいは数千万円という金額は安くはない。もし手元にそれほどの大金があったとしても、わずか1か月間の宇宙旅行に使いたいという人は少ないだろう。しかしそれでも、かつては夢物語に過ぎなかった宇宙旅行が、一部の人にとっては十分現実的なところに、また一般人でも無理をして手を伸ばせば届きそうなところに来つつある。 <文/鳥嶋真也> とりしま・しんや●宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。 Webサイト: http://kosmograd.info/about/ 【参考】 ・Bigelow Aerospace and United Launch Alliance Join Forces to Foster a New Era of Sustainable Commerci – United Launch Alliance ・Bigelow Aerospace – B330Bigelow Aerospace Partners with United Launch Alliance, April 11, 2016 – YouTube ・Bigelow Aerospace – BEAMNASA – Bigelow Expandable Activity Module
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。 Webサイト: КОСМОГРАД Twitter: @Kosmograd_Info
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