日本と同じように並ぶ中国の交通違反や事故を監視するカメラ
驚くほど精度があがったカメラで防犯・監視が行われる
無論、こうした監視カメラ類の多さが、防犯的な役割をはたすことも少なくない。
例えば、3月末に、中国の旅行会社主催に日本への花見ツアーに参加した中国人観光客が、帰国した時に、預けた荷物がなくなっていたという事件が発生した。該当する荷物は福岡のドラックストアで爆買いした化粧品類を詰め込んだダンボール1つだった。ロストバゲージかと半ば諦めていた翌日、空港公安から「盗んだ犯人を監視カメラで特定し、本人を追及したところターンテーブルから盗んだことを認めたので逮捕。荷物も転売前に確保した」と連絡があり戻ってきたそうだ。このケースは、監視カメラが窃盗解決に役に立った事例だ。
こんな事例もある。中国在住の日本人が、仏系スーパー「カルフール」でレジ会計をするときに財布がないことに気づいた。財布はズボンの前ポケットに入れていたが、どうも盗まれたらしい。しかし、いつ盗まれたのか分からないほど手口は巧妙だった。店内のカスタマーセンターが公安へ連絡すると、10分ほどで公安2人が来店し、現場検証を兼ねて監視カメラをチェックすることになった。防犯センターに公安同伴で赴き、監視映像を見せてもらうことに。見せられた映像はフルカラーで、しかも鮮明なことに彼は驚いたという。おおよその入店時間を担当者へ伝えると、検索し、彼本人を探し出し、入店からスーパー内での買い物、レジまでの動きを彼1人だけ追跡するように編集した。時間にして15分も要しなかったという。
検証の結果、残念ながら犯行の瞬間を見つけ出すことはできなかったが、監視カメラ映像は、恐ろしいほど精密になり、驚く進化を遂げていることがわかるエピソードだ。
もちろん、国家を筆頭とする公的機関が「監視」としてカメラを用いることも当然ながら多い。もっとも多いのは国境警備などで活用されているケースだ。中朝国境で有名な丹東では、鴨緑江近くの車道に大量の監視カメラが設置され、遠隔操作で監視している。現地ガイドに教えてもらった監視建物は、国境付近から数キロ離れた高台にあり、問題があれば、近くの国境警備員がすぐに駆け付けられるようになっているそうだ。
10年前の丹東では、監視カメラではなく、警備員が目視で監視しており、そのため、今の北朝鮮のように大量の警備員が一定間隔で配置され監視していたが、今では、一見、警備が手薄に思えるくらい警備員は少ない。
昨年9月末に報じられた日本人の長期拘束も、入国時にマークされて、丹東や上海、北京などの移動先やホテルまでカメラによる追跡監視されてタイミングを図って拘束された可能性が高いと見られている。