トランプ候補の英語は「小学校6年生以下」。そこに隠された戦略

子どもレベル英語に隠された戦略

 しかし、トランプ氏がこのような英語を使うのは、聴衆に合わせて意図的に言葉のレベルを変えているというのが米メディアの見解だ。  言葉のレベルを一番頻繁に変えているのがトランプ氏、次がクリントン氏だという。さらにトランプ氏は、スピーチに時事ネタ等のアドリブを挿入し話す能力に長けているといわれている。例えば共和党のミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が「トランプ氏は詐欺師だ」と批判したときは、スピーチの中でロムニー氏へ軽くジャブを挟みつつ話をする。こうしてアドリブを入れながら全体的な主張から逸脱せずにうまくスピーチをまとめるということは、スピーチ慣れしたアメリカ人にとっても非常に難しいことだそうだ。  トランプ氏はこれが非常に上手く、逆にクルーズ氏や別の大統領候補ジョン・ケーシック氏はまったくこれができず、台本通りのスピーチしかできない。より簡単な言葉でより多くの有権者に訴えかけ、アドリブも使える話術を持つことが、トランプ氏の快進撃の秘密なのかもしれない。 <取材・文/水次祥子 photo by Gage Skidmore on flickr (CC BY-SA 2.0) >
みずつぎしょうこ●ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材執筆活動を行う。主な著書に『格下婚のススメ』(CCCメディアハウス)、『シンデレラは40歳。~アラフォー世代の結婚の選択~』(扶桑社文庫)、『野茂、イチローはメジャーで何を見たか』(アドレナライズ)など。(「水次祥子official site」) Twitter ID:@mizutsugi
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