一つは、普通に流通している薬で禁止物質が入っているケース。シャラポワの件で問題になったメルドニウムは、米食品医薬品局(FDA)では承認されていないものの、ロシアでは不整脈や虚血、狭心症その他の心臓疾患の治療などに使われる薬だ。しかしこれが、細胞への酸素の供給を向上させ、すなわち運動時のスタミナ向上に役立つというドーピング的な要素があるため世界アンチドーピング機構(WADA)によって今年の1月に禁止薬物リストに追加されている。
咳止めや鼻炎薬で資格停止になるアスリートは多いので要注意
日本でも売られている薬でもこうした「うっかりドーピング」に繋がる薬はある。
代表的なところだとエフェドリン類だ。鎮咳作用や気管支拡張作用があるので、市販の風邪薬では含有されているものが多い。これは禁止物質の中では興奮薬に含まれる。中秋神経系を刺激して集中力などを高めたり、血流量の増加で競技能力を向上させるとしている。漢方薬で用いられる麻黄などもエフェドリン類の成分を含むため同様に「うっかりドーピング」になりがちだ。